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短篇
サクサク-9
「あっ……あの……流石にもう少しだけ、離れてくれない、でしょうかっ……」
「別に良いだろ?長い毛がべったりくっ付く訳じゃないしよっ……」「ちょうど暖かいし、お互いいい関係じゃないっすか」
「まあ、そ、そうなんですけど……流石に四人一緒に集まって来るのは…苦しっ………」

結局溢れさせてしまうまで吐き出されてしまった事で、丁寧に身体を清められて、トイレの中で四人に抱え上げられながら精液をひり出す手伝いを行われたという事実にも恥ずかしさを感じなくないくらいには過ぎ去っていた。。
上下の穴まで丁重に使われてしまった事もあって身体の洗浄に関しても奥の奥まで弄られる結果となって。そんな一日、一晩を過ごした後にも、すっかり仲良くなっている。
というより、従業員用の更衣室の中でぎゅっと身体を圧縮されている。前後左右というべきか、人間を中心に四人全員が文字通り群がられているのである。

ロッカーが立ち並ぶ部屋の中で、立たされたまま背後から黒犬人が、真正面から獅子人が押し潰して鬣だった首周りの毛並みに顔が押し付けられているばかりではない。
それだけではなく左右からは馬人と牛人が同じ様な形で挟み込まれている訳で。体格もあってどこもかしこも獣人ばかり。胸元と首元と、サクサクに全身が包み込まれていた訳で。

「せ、せまい……」
「……にしても、やっぱりなあ……前々から思ってんだけど、人間の身体ってのは……」
「すべすべして気持ちいいもんだなぁ……こんな風にやり過ぎて、前の人間はあんな事になっちまったけど……」

着替える間も無く気崩された衣服をぎゅっと抱き寄せられながら、伸びる手が水気を拭ったばかりの身体を包み込んでいるかの如く。
こそばゆい感触、あれだけ味わっても嗅覚は馬鹿になっていないらしく、複数のものが混ざり合った獣の香りに自然と表情が緩んでしまうくらいには、色々と凄い事になっている。
前の人間の事に関して考えれば考える程ろくでもない気分になってはいるけれど、今の所人間自身にそこまで悪い気分は備わっていない訳で。
口の中も尻孔の中もぎっちりたっぷりと精液が注ぎ入れられて、その後始末まで赤子の様な調子で施されていたとしても、である。もう色々手遅れなのかもしれない。周りの黒犬人達含めて。

楽しそうに頬擦りまでしてしまいながら楽し気な調子で身体を撫で回す周りの獣人達を見て、違った意味合いでも暖かい気分になるのを感じ取りながら。
普段以上に遅い時間帯になった、実際残業扱いになるらしいバイトを経て、大分遅い帰路へと着くのであった。



「……いや、何か今まで悪かったなぁ……普段からずっとこう、お前の毛とかをわしゃわしゃしちゃって……手入れとか大変だろうなって、思ってたんだけど……」
「だから……匂いとかで色々もう分かっちゃってるからな。何でそんな気分になったとかってのも分かってるから……それに今更気を使わなくても良いって言うか……」
「……あの、どうなってるんだそれ?普段以上に…とんでもない事になってない?」

数日振りに見合わせた親友の犬獣人と相対して、その違和感に気が付かない程希薄な関係を築いてきた訳ではない。全身がモフモフの毛並みに生えているのは間違いないし、最近の冬毛はボリュームが溢れている。
そこまでは分かっていたが、数日前に目にした時以上にそのボリュームが極まっている様に見えた。毛並みそのものが逆立っている様であり、全体が膨れ上がっている程にはち切れそうに見える。
サクサクした毛並みに靡きつつあった人間が一気にもふもふに振り切ってしまう程に、その身体がふわっふわのほわっほわとなっている。

「……まあ、時節柄仕方ないし……そういうのなっても俺は気にしないって言うか」「んじゃあ遠慮なくっ」
「あ、ストッ」

お墨付きを得たのだから遠慮も必要はないだろう、何せそんな仲であるのだから。犬人が露骨に止めようとしたが、飛びつく様な勢いで手を伸ばす方がずっと早いものであり。
ばちん、と音を立てて青白いスパークすら走って、人間の指先には激痛が走るのであった。

「……静電気だよ。だから気を付けとけって言ったのに…」
「……うん、気を付けます…今度から……」

【終】

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あきゅろす。
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