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短篇
こそだひ-7
案外慣れてしまったのは人間もまた同じである。凸凹と下腹部を乱雑に貫く触手も、一度慣れてしまったならば気の触れそうな快楽さえもすっかりなじんで来てしまっている。
勿論狼人型からしてみればあまりに異常な光景であるのだろう。自分の様に激しい陵辱を受けながらも折れぬ反骨心を抱き続ける訳でもなく、他の兵士達の様に折れるか快楽に屈する訳でもなく。
飽きてしまったなんて。馴染んでしまったなんて、昔気質の狼人からしてみればあまりにも予想外だった。拘束されていた猫人を取りこぼしてしまう程に。

「ごっぶ…ぼぶぇ」「大丈夫?」「……んぶ、ぺっ…まあね」「部屋の中で吐くなよ……」
「今更どうにもならないっしょ、こんな部屋なんだし……あぐぅっ」

立ち上がっただけで口と緩み切った尻孔から、勢いよく音を立てて粘っこい精液がどぼどぼと溢れ出ていく。竿を包んでいた肉触手も纏めて引き抜かれ、やっと人間もベッドの上から立ち上がる事が出来ている。
膨れ上がった腹から精液を噴出させながら、元通りに凹むまで平然と落ち着いてしまっている。陵辱の苦痛と精神が折れるかどうかという瀬戸際さえも存在していないのが目に入る。あまりに奇妙で、驚きで。

『馬鹿な……これ程までにお前達は辱められているのだぞ……何も感じないのか、あれほどの快楽を叩き付けられていながら……!』
「別に何も感じないってえ訳じゃないんだけど、何回イっちゃった事か……」
「まあ、普通にずっとやるのもマンネリしちゃってたものだから……色々と試したのもあったのは多分何かあるんじゃないかなって……」

完全な拘束と触手の事とも合わさってはいたものの、実際猫人と人間の間にはそのくらいの事はやっちゃっていた。やってしまっていた訳だ。
異常に巨大なディルドであったり、疑似精液を何処だかから買い取ってからたっぷりとお互いの腹に注ぎ合ったり。縛りも適当に味わった経験を持ち合わせている。
陵辱は一種の愉しみであり、狼人型が驚愕と混乱を纏めて味わうのも何ら問題は無いのだろう。そこまでの経験を積んでいる。そこまで自主的に惨たらしいもの事を味わっている。

『馬鹿な、馬鹿な……ぁ………』

そこで狼人型の身体は、嘗ての記憶と合わせて何もかもが砕け散る様な衝撃に合わせる。固まっている。完全に人間も猫人も自由の身になって、肉塊の末端から伸びていた触手も一度白濁に絡まれた場所で一部が萎れ始めてすらいる。
だからと言ってどうする事も出来ない。六桁の張り型の所存は知れないままに、その場で表情が虚ろな物へと変貌している。
あれだけの事を行ったというのに、恐らくは人の身体を捨てるのも相当な気苦労を経ていただろうに。満たされていない様に見えた。満足していない様にも見えている。

「……何か、変な事考えてない?」「まさか。きっとそっちと同じ様な事だと思うけど?」
「じゃあ、変な事だね……さて、じゃあこっちに行こうかなっと」
『……ぬぉぉぉぅっ!?』

茫然としている間に、狼人型の身体を象っていた肉は、猫人と人間とに挟み込まれながら一気に身体を持ち上げられる。足先には触手の断片がへばりついて何処までも伸びていくがお構いなしに。
べっとりと人間と猫人と、それぞれに注がれてはち切れた分の精液でドロドロになってしまっているベッドの上に、やたらと重たいその身体を強引に寝かせる。三人分以上の質量にベッドが悲鳴を上げたが気にしない。気にしてもいけない。

『な、な、な……何をするかぁっ!?』
「ちゃんと触られてる感覚とかも残ってるなら、まあ大丈夫なのかもね……今からあんたとセックスしようかなって思うんだけど」
『この様な段階で、この様な状態であるのにっ……な、何故そんな方面へと話を進めるかっ!?』
「こっちは別にどうでも良い気がするんだけど」「そっちがそういう気分じゃないかって話だから」

まるで示し合わせた様に人間も猫人もお互いを指差しながらきっぱりと言葉を紡ぐ。青臭く精液にごってりと塗れた据えた匂いが漂ってすらいる部屋の中にて。
あまりにも不可解で突拍子等有りはしない。それでもこの二人がまとめて、狼人型そのものを求めているのは悪い気はしない。不思議な程に。
二人分の体温を柔らかに感じ取りながら、当たり前の様に唇を重ねるのだった。

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