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短篇
こそだひ-6

生前の狼人が宿していた狂気が、そのまま形になってしまったかの様な密度と質量だった。悪辣な姿が形を成して、既に人間と猫人との身体を深々と抉り抜き続けている。何度達しようとも一切気にする事が無く。
うねり、蠢き、脈動し、肉体を激しく犯し抜いている速度さえも本来の人では味わえない様なもの。大量の粘液が分泌されて居なければ、火がついてしまいそうな程の速さと狂気である。

「ぐひゃ、っぐひぃぃぃっ!?も、も、いぐ、ひ、じぬ、ぅぅぅぅ!!」

ぼこ、ぼこっと激しく下腹部を盛り上がらせるだけですらなく、根元に備わった肉瘤が押し込まれる度にぼこぼこと深く人間の腸内を抉り取っていく。
引き抜く際にはもっと手酷い出来事が待ち構えている。本来ならば射精する際に結合を保ち続けるべき器官が、力いっぱいに引き抜かれる度にぼこんと音を立てて人間の腸内を引き摺り出してくれているのだ。
更に即座に押し込まれる。複数個がまとめて引き抜かれるのは肉瘤以上に立派過ぎる代物。抉じ開けられた尻孔から僅かずつ腸内の肉が、引っ張り上げられていく。

「ごぼ、んぁぎゃあぁぁっ!?ひ、ぎゃ、ぐぁぁぁぁ……!?」

空中に吊り上げられながら猫人は身体を思いっきり仰け反らせる事になる。がくがくと身体を痙攣させて、空中で踊る舌から唾液と反吐とを撒き散らしても止まりはしない。
猫人の尻孔を手酷く抉っている肉触手は先程まで中へと受け入れていた人間以上に深い箇所まで先端が押し上げて来ている。雁首が僅かに腸壁を抉り抜いているだけには留まらない。
既に猫人の腸内の奥底では、触手の先端で大きく開かれた鈴口からは精液が注がれている。注がれ続けている。それこそ口の様にまるで大きく巨大に拡がりながら、人間以上にごってりと濃厚で大量の精液が抜き差しを繰り返しながら注がれ続けているのだ。
腹部は溜め込まれた精液によってぼっこりと膨れ上がり、鋭いピストン運動によって激しく揺さぶられる。

『はっはっは……ふはははははぁッ!どうだ、これが力だ!これが恨みだ!これこそがこの俺の……!』
「ふぎっぐ、あぁぁぁぁぁ!?」「ぐぶ、ご、ぁぁぁぁぁぁ……!!?」

やがて人間の中に突っ込まれた触手から精液が勢いよく放たれていき、ただでさえ巨大であった肉瘤が根元で爆発したかの様な勢いをもって膨れ上がっていく。
猫人に注がれ続ける精液は更に胎内で渦巻き、猫人の身体のボディラインさえも完全に崩した妊婦の身体となってしまっている。あまりにも惨たらしく、それ以上に酷い。
触手の射精に合わせて、部屋全面を満たしていた肉塊からもごぼごぼと音を立てて無数の白濁が雨の様に全身に浴びせられた。猫人も人間の身体も纏めて染め上げて行った。大量の液体に満たされながら、やがて夜が更ける。



「はぁ……ふぅぅ……案外、人って死なないものだな…ぁ……っ」
「そうみたいだなぁ……っぶごふぇ、げふっ……あー、もう慣れちゃった」
『…………』

電灯の代わりに、肉塊から覗く青色がかった水晶体から放たれる燐光が部屋を照らしているのが見える。お陰で視界には困らないが、狼人を象っていた存在は驚いた表情を浮かべたまま固まっていた。
あれだけ泣き叫んでいた人間が、あれだけ必死で身体を吊り上げられながら悶え狂っていた猫人が、いつの間にか平静を取り戻している。そして猫人の口元から逆流した精液が溢れていった。
だけで終わった。特に泣き叫んだり、絶望したり、既に気をやって触手のピストン運動に絶頂を続けたりした様な事もない。狼人が過ごしていた、時代とは全てが異なっている様に。

「……で、そろそろ落ち着きましたか……っぶご、ぅ……そろそろ、どうにかしてくれませんかね……っ」
『ば、かな……いや、違う、違う違う……俺は間違って……もっと気を狂わせてしまえば……あぁ……!』
「もう口の中も精液以外の味もしなくなったし……で、これからどうするんですか、気を狂わせるつもりで……」
『……馬鹿なぁぁぁぁぁっ……!!』

狼人型は頭を抱えながらの絶叫、合わせて触手による拘束が緩み、猫人が肉へと落下する。ぼぶぁ、と音を立てて、大量の精液が上下の穴から噴き出した。
今更どうとも思わなかった。

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あきゅろす。
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