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短篇
こそだひ-3
「いだだだだ……ちょ、そっちでも噛むのはこっちの居場所がない、ぞっ……!」
「くぅぅ……だって…何か手持無沙汰だから……はふ……!」

六桁支払った古物、木製のディルドが眺めている中で二人はいつもの様に絡み合っている。どちらがどちらに突っ込むのかも、その日時々の気分で何となくで決めている。
それくらいには関係を結んでからの時間が経過しており、お互いがお互い気持ち良くなれる程には仕上がっているくらいには身体を重ね合ってもいる。

今日はベッドの上で座っている人間の上から猫人が乗り掛かり、身体を寄せながら準備を済ませた尻穴に人間の肉竿を挿入しているという具合であった。
乗り気になっている間に人間の首元に猫人が牙を突き立て、弾みで先走りと共に肉棒が脈打つ感覚に一層刺激が襲い掛かるという算段である。ぞくぞくと走る甘い感触と、尻尾は激しく揺れて人間の腿辺りを擽って来る。

「全く、これだからお前ってのは……ぐ……んっ……」
「ひぎゅっ……ぐうぅぅぅ……っは、やっぱ、り、噛むとすご……っ……」
「ぐあぁっ、だから噛むなってのっ」

何気無い愚痴を語り合いながらも、溢れる汗の匂いと雄臭が混ざり合った感覚を、冷房を一段と効かせていても熱気があふれる時間帯をお互い拒んだりはしていない。
興奮に合わせて逆立っている毛並みのさらさらとした感触であったり、肉棘に覆われた竿から溢れる粘液が自分の腹部に擦り付けられる甘い痛みも心地よく思えていた。
毛皮が何も包まれていない人間としての肌に滲む汗やら身体の各所に生えた体毛から汗を纏って漂う匂いにも、自分の尻孔に入り込んでふっくらした雁首が抉る感触が純粋な快楽だった。

ほんの僅かに血が滲むくらいの首筋から離れた猫の口が、僅かに身体を揺さぶって来る人間の唇を塞いでくる様な。
それに合わせて人間も平気な顔をしてざらついた獣の舌へと舌を差し出して、雄の匂いがまだ残っている唾液を絡ませ合うかの様な、いつもの甘く深い時間帯を送り続けている話。

「んぶ……ぐるぁ……ぁ……っ!」
「ぐ、うぅぅぅ……!!」

お互いの竿の根元にぶら下がっていた陰嚢がぐぐっとせり上がり、同時に猫人の尻孔が引き締まったのを感じ取り、唾液の糸を離れた口元同士で繋ぎ合いながら。
共にくぐもった呻き声をこれでもかと溢れさせて、膨れ上がった人間の竿から放たれた精液が猫人の尻孔の中を満たしていった。同時に猫人の精液はそのまま飛び散り、自分の毛並みと人間の腹部を汚していった。

「…………で、あれ本当にどうするつもりなんだよ……今の所お前が解れてはいるんだけど」
「いや、もうお前のザーメンとかで満杯だから今更だよ…スッキリした感じもするし」「何で買ったんだよ本当にさぁ……」

甘い余韻に浸っている内に冷静さも頭の中に戻って来て、猫人の答えを聞いては本気で眉間に皺も寄る。
身体も清めなければならないしベッドの上もいつもの様に掃除しなければならないのに。精液の匂いを漂わせながらのピロートーク、と言って良い物だろうか。
セミダブルサイズのベッドの上から身を這わせて、ベッドの横に置かれていた張り型を手に取る。だから良いよ、と猫人が呟くのも気にしないままに手を伸ばし、

「……こんな形だったっけ?」
「そんなに見てなかったから分からないよ?」「六桁の物はもっとちゃんと見ようって……」

猫人と人間との精液と汗が僅かに付着した片手で触れた、触れてしまったそれは表面がぐりぐりと蠢いているかの様に見える。こんな形になってしまったのかと思っている間に、ぼこぼこ、と表面がうねり出す。
まるで生きているかの様に。

「まずくない?」「えー?何が」

張り型から溢れ出したのは、明らかに異常な量を備えた肉塊だった。

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