短篇
球-4
「うはぁぁ……」
思わず人間が感動の溜息を吐いてしまう程には、目の前に見えている光景は素晴らしく珍しく、念願叶ってのものであった。
鱗に覆われ、腹側の肉質は割れて引き締まった腹筋に胸筋と、元の獣人や竜人よりもいっそう逞しい肉体が見えている。
そして何よりもその股間。ずっと待ち構えていた訳でもないが、その身体付きに相応しい様に、でっぷりと玉袋がそれぞれにぶら下がっているのだ。
「ええ、凄いですよ。実際目にするのは初めてですけど…こんなにも、違和感がないなんて」
「……そんな事を言われるのも、初めてだ」「違い自体は分かっていたけどねえ」
艶めかしいくらいに光沢を帯びた黒い鱗の竜人に、滑らかそうな白い鱗の蜥蜴人。どちらも相当な体格で、
股間だけを露出すれば良いにも関わらずお互いに全裸。それぞれ袋の真上に、股間が隠されているだろう縦割れが見えている。
奇妙に見えているのは、どちらの肉にしても完全には閉じ切っておらず、僅かに赤黒く擦れ肥大化した内膜が、宛ら女性器の様に見えている事だ。
めちゃくちゃ遊んでいる証拠であるという事は、当然深緑の彼は知っていたが。
ブルーシートが敷かれた中で膝立ちになって観察している人間にはそこまでどうでもいい事だと認識されている。
股間にぶら下がる袋を間近でみながらとてもわくわくとしている。何とも奇妙な光景はそれとして、人間の手にはメジャーが握られている。
「じゃあ、じゃあ…えっと、調べてみても良いでしょうか?」
「……うむ」「ああ、優しくしてくれよ?」
ゆったりと深呼吸をする吐息が、そっと袋の裏側を通り抜けてくすぐったい様子さえも気付かないまま、まず黒竜人の袋に手を伸ばす。
縦割れの真下にぶら下がっていて、赤みがかった彼本来の肉の色と同じ赤色の袋はずっしりと重たそうだ。
わざわざ大きさを測ってみても、並の獣人よりも体格に比べて大きい事を確認する。何よりも気になったのはその指触り。
「あれ、鬣は無いのに、こっちは生えてるんですね…」
「……まあ、な」
何とも落ち着かなさそうに尻尾が背面で揺れている音を聞きながら、ゴムを張り合わせた様な分厚い手触りと、
裏筋に沿う様にして銀色の毛並みが生えているのが目に入る。何とも恥ずかしそうな表情を浮かべた竜人の縦割れが、もこり、と盛り上がった。
「本来なら存在しないからこそ、こうして陰毛として代用して護っているのかな…うーん……」
クッションとして有用であるとは知っている分、考えながら裏筋をぐりぐりと撫でてみる。
中に詰まっている精巣はあからさまに巨大で、裏筋以外は無毛で表面に張り巡らされた血管が滾っている様子まで見えている。
全体的な造りも人間や獣人のそれとは変わらず、エアコンが効いているこの部屋の中でだらり、と垂れ下がっている。
「……ちょっと抜いても良いですか?」「…ああ、構わないぞ」「では遠慮なく」
「……ぐあぁっ!?」
「……え?」
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