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短篇
球-2
研究の為、と言う向上を元に、竜人や蜥蜴人の雄に「ちょっと生殖器を勃起させて露出させてくれませんか?」と問いかける。
勿論普通は断られる事になる。げんなりとした表情を見せながら。
とは言っても最初の蜥蜴人の通りに、生物学に精通している相手はある程度は受け入れてくれる。大体半分程。

そんな流れでサンプルと称して写真を撮っていたり、そういった誘いなのかと勘違いした相手を全力で断ってはどうなるか。

「……ヤッたのか?」「いえ…走り回ってました、から…ちょうどそこの人と……」

一段とくたびれた調子で食堂のテーブルに顔をへばり付かせている人間の目元には隈が浮かんでいる。
眼鏡も片方のレンズに傷が入っており、殴られでもしたのか落としたのかは何も分からないが。
それだけの問題がこうも起こってしまうのは少しばかり愉快でもあるが、このまま友達が消耗するのもよろしくない。

竜人の方は物で釣る事によってある程度順調であり、保管庫の中には既に十三人分の血液サンプルが収まっている。

「しかも全員まるで面白くないんですよ。いや、大きさとかは個人差があるんですけど、誰も彼も精巣がスリットの中だって抜かすんです」
「…………」
「まあ写真には収めましたけど、このままだとただの竜人と蜥蜴人の雄の生殖器コレクションだけが出来上がりそうで…」

そこで竜人に額を小突かれ、人間は痛そうに顔をしかめた。未だに竜人の方はどんな反応をすれば良いのか分からない様な表情だ。
純粋な蜥蜴人からその背中側に鬣を生やした竜人、鱗の代わりに毛皮を纏った竜人でも精巣は、身体の中にあるらしいのだ。
二重の意味で釈然としなさそうな顔つきの人間を前に、とりあえず竜人は溜息を吐く。
恐らく彼の熱意は確実に過ちを招く。早い内にどうにかしなければ、刺されるか路地裏でボロボロで見付かるかの二択だ。

とは言っても、実際どう探せばいいのかは分からない。この学園の中にちょうど居てくれたらそれに越した事が無いのだが。

「……隣は、空いているか?」「ええ勿論どうぞ…むっっ!?」

そう、ちょうど山盛りの料理を盆の上に盛って隣に座った黒鱗の竜人が、人間の求めている様な相手であったならば。

「おい、話を、まずは話から通せよ?」
「…………」「……マジか」

実際その通りであったらしい。箸を使って料理を食べるのに忙しない黒竜人の股座を見る。
続いて、人間は首を動かして深緑の彼の股間を見てみる。明らかに大きさが異なっているのが分かった。
具体的には、露骨な膨らみがジーンズを押し上げているのだ。背凭れの無い丸椅子に窮屈に座っていると、顕著に見えていた。

一応忠告はしたが、既に人間の目は爛々と輝き獲物を見定めている獣らしい雰囲気すら人間の癖に漂っている。
当然食事中にそんな視線は嫌でも気付くもので、黒竜人の方から切り出してきた。来てしまった。

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あきゅろす。
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