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短篇
エロかったかなお話?10
擬似パルスを発するドローンをほぼ完全に破壊して使用不能にしてしまったので、周辺のハッキングにより音の出てネットワーク接続可能な機器からパルスを発する様にした。負傷を知らせるパルスは既に闇医者が知っていた。
作業室内でネットワークを使用不可能にしたので、適当な無料使用可能なスポットを利用する事にした。拝借した携帯さえあれば、後は闇医者の身体に噛ませて余裕で拾えた。下っ端から拝借した衛星携帯も合わせれば、世界を壊すには十分だ。

龍人が粉と砕いたハードウェアごとデータを破壊したが、闇医者の頭の中で完全なデータが残っていたので何も問題は無かった。パルスと飛ばせる環境さえあれば容易く計画は実行可能だった。
指も動かせない程度にはがっちりと椅子に闇医者を拘束した。ネットの使えない環境に保管した。既に闇医者は自分の体内に携帯を隠し持っており、身体を動かさなくとも準備と構築が出来る様になっていた。

「計画は約3分後、問題なく発動する事になります。既に中止は出来ません」「そうか」

端末を弄りながら機械的な言葉で語られた真実、闇医者との最後を前に、止められなかった無力感、無常、腕力と勢力だけではどうにもならない位置に最初から闇医者はいたのだ。
期間を遅らせた所でどうにもなりはしないだろう。最期にこれが効くだろうか。龍人は解放した闇医者と、最初に通した監視室に居た。間も無く世界中の輝石は爆発する。ヒーロー、ヴィラン、幾らかの義手義足を使用している者。
そして輝石そのものを保有している企業や技術者、すべての時代が荒々しく終わる混沌が生み出される。如何にもヴィランらしい行動。サイバネティックを失った世界で、龍人が覇権にまた近付くだろう。

「ならば俺も此処に残って、お前の計画を見届けようか…お前の主人として」「分かりました、後100秒」
「爆発に巻き込まれてはきっと…死んでしまうだろうな、この俺も」「確実に何も対処しなければ死ぬでしょう、骨も残りません」

淡々と言いながら端末を弄る手は止めない。計画を今になって中止するのも何だか癪であるという気もする。龍人があれだけ邪魔をして、全てをかわされた程の。心残りも悔いもあるが、これで終わるのも晴れやかである気すらして来るのが奇妙である。
身体の節々にガタが来ていた、暴力では限界が迫っている、結局は過去のトラウマから嫌っていた擬似部品がさっぱり自分ごとなくなるのだ、その先を見る必要すら無い。残り一分を切った。案外これからが長い様にも思える。考えを纏めるには十分なぐらいには。

「残り30秒」「最期になるから言っておくか…短い間だが、そこそこの時間潰しにはなった」
「残り…20……」「……案外時間が掛かるものだな、もう少し話すにしても…」
「防衛の為動力源を…急速に劣化して……すからね……」「……どういう事だ?」
「主人、は、守る」

それだけです、と言った様にも聞こえたかもしれないが。端末のボタンを押したと同時に、それよりももしかしたら前に、闇医者は龍人が支える間も無く崩れ落ちた。ただの停止した機械になった。
世界のサイバネティックが崩壊しつつあったタイミングに限って。龍人は既に動かない壊れ物に気を取られて、感慨に浸る間すら、無かったのであった。

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