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短篇
エロいかったかなヴィラン?9
「……お前はどうして、闇医者をやっていた」「技術は分け隔てなく与えろと言うのが行動理由の一つとして定義付けられました」
「……だったら、どうして俺の計画に乗った」「貴方がそう望んだからです…何分、アンドロイドというものは、仕える者が居なければ行動すら出来ませんから」
「今まで仕える者は患者であったのだな?」「その通りです。一対一のやり取りならば間違いは有りませんでしたから」
「……中止する事は出来るか?」「既に段階を突破しましたから、不可能です」

無人のドローンを使用、擬似パルスを送り出して人体改造を受けた者を全員、この近辺に居る者全員を爆発させる作戦。ただの思いつきといえばそれまでだった。それ以外の何物でも無かった。
何故ならば彼は暗躍を続けているヴィランで、望めば一通りの物は強引に奪い去れるだけの力を持っていた。闇医者にしても、輝石の爆発を調査するだけの環境と人材とヒーローを集められるだけの力が有ったからこそ。

「先程の貴方の絶頂のデータを取得した時点で、必要であった物は全て揃いました。もう一段階前だったならば、不足分の存在により中止は出来ました」
「…………」

自然と龍人は拳を握り締めたが、怒りの行き場が何処にも無いのだとも分かっている。手っ取り早さから媚薬を使ったのも、景気づけに自分が僅かに吸い込んだのも、手での処理を行う様に命じたのも彼本人。
懇切丁寧な説明に関しても納得がいく。どれだけやめろと言っても止まらないだろう。データを今の内に削除すれば強引な手でやるのかもしれない。ならば一番手っ取り早い方法としては。単なる指示で止まらないのであればと。
黄色がかった白濁を胸元に散らした格好のまま、黒龍人は闇医者の、人間の形をしたアンドロイドの首を掴んだ。皮膚の柔らかな感触は見事というしかない。その中に金属が詰まっている等何も思いはしなかったのに。

「その通り、私を破壊したならばきっと私の計画、貴方の計画は阻止されるでしょう」
「何気無い思いつきで此処までの事をやってくれたお前には、感謝している」
「私の耐久性は人間よりやや高い程度です。完全に破壊するには頭部を完全に破壊する事です。貴方の打ち立てた計画と何気無い思いつきの結果の犠牲です」
「…………」

変に苛立つ物言いをしているのはきっと気のせいではないのだろう。そこまで考えられての言葉、儚い様な首の細さ、全てが気力を削ぐ。彼を壊されたくないから計画を阻止したい、故に彼を破壊しなければならない、矛盾している。
媚薬の効能はまだ残っていないとは言い切れないのに、その身体は恐ろしい程に萎えていて、冷めていた。そうプログラミングされた機械の言葉だとは完全に思えず、結局龍人は首から手を離すしかなくなった。

「計画に不備が出た場合は」「可能な限り補填して実行に取り掛かります」「ならば補填が行き届かなかった場合は」「中止せざるを得ない場合はそのまま」
「……覚悟しろよ?」「心意気という形では、受け止めておく事にします」

協力者としての宣戦布告。必死にならなければならない理由が出来たとは、今の龍人は意識は出来なかったのである。

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あきゅろす。
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