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短篇
エロいかったなヴィラン?8
巨大な手で首根っこを押さえ付けられながら、香水瓶の中身を不意に浴びせかけられる。甘ったるい香りに肌に触れた箇所には火照りまで生み出されるもの。強めの薬で媚薬。依存性の有無は今は関係が無い。

「痛みに気をやるよりは、ずっとマシだろう」

何かの返答という訳でも無く楽しげに龍人は呟く。自分で自分に言い聞かせて、勝手に納得している。闇医者の意志は美しいまでに無視されているのだろう。やや草臥れかけていた服は容易く引き裂かれた。
甘ったるい媚薬の香りを龍人自らも吸い込みながら、暖かな地肌をそっと触れていく。拍動は間も無く早さを増し、赤みが増すその時を待とうとしていた。しかしそこで異質な雰囲気にも気が付く。
今の様に強引に事を行う為に媚薬は随分と強いのは間違いないが、闇医者に変化は無い。顔色も何も変わらない、吐息も荒げていない。稀である。ヒーローであったとしても耐え難い快楽を齎すと言うのに、

「…………」「っ」

無言で闇医者は露わになった胸元に手を伸ばして、がこん、と音を立てながら龍人を目を見開いて驚かせた。全身を覆っていた年齢の設定よりも幾分か若く造られた人工皮膚に裂け目が出来上がり、
表面の装甲板は日常生活に支障が無い程度の薄っぺらなもので、内部構成は容易く晒される。人間を模した核には、輝石が爛々と容器に備わって輝いている様子までもが目に出来ている。ヒーローやヴィランに埋め込むものよりも、ずっと巨大なものが。
驚くしかなかったのが闇医者を造り上げていた部品の数々である。肉体の半分以上を機械化しているヒーローが居ない訳でも無い。脳と感覚器以外は機械に取り替えてしまったヴィランも龍人と同じ立ち位置で裏社会を仕切っていた時代もあった。
しかし、あまりにも無機質過ぎている。有機的な物質としては表面の皮膚と舌程度。脳が本当に存在するのかも怪しい様な。背骨までもが金属、肋骨は簡素なプレートで覆われていて、消化器の類はきっと有りはしない。

「……お前は、誰だ?」「そういえば言い忘れていましたね」

簡易な操作で皮膚を元の位置に戻すと、裂け目も繋ぎ目ももう見えなくなる。うろたえている心中を押さえ込んで声を震わせない様にしながらの龍人の問い掛けに、普段と変わらない表情と口調で答えを返した。

「アンドロイドです。製造年数は今から十四年前です」



いくつにも割れた腹筋を下っていくと、脂肪の類が無い逞しい股座と縦割れが綻んでいる。媚薬の効能は如何に本人が戸惑っていようとも、完全に作用して興奮を促している。指の腹で軽く撫でるだけでもびくりと震えて先走りが漏れ出て行った。
仰向けでベッドの上に寝転んでいる龍人に寄り添いながら、微細な可動も可能な複数のモーターと駆動によって柔らかなままの指先がスリットを這い回る。忽ちに小さく絞り出す様な声と共に、股間からは普段しまい込まれていた竿がずるり、と飛び出した。

「あぁぐぅ…っ…どうして、黙っていた」「今まで聞かれませんでしたので」

人工的な改造であったが、機械の様にごてごてとはしていない。竿の表面には血管が走っており、側面と上面には複数の真珠が埋められていた。既に先走りを垂らしている先端に、全体は驚く程に熱い。

「だ、だったら…お前に使われているもの、はっ」「輝石と同じものです」
「ならば、装置を稼動させたならっ」「爆発するでしょうね」

無機質な言葉に媚薬を嗅いだ身体、返答する内容を受け入れるにしても何処かでずれがあるのは間違いないが、それでも直接的な刺激は龍人を呻かせるには十分過ぎる刺激。
湯気すら立ち上りそうな熱気に先走りが全体に塗り込められ、片手では握り込めない竿を両手で縋り付く様に擦り上げ続ける。上半身の服を脱ぎ去り、ズボンの前を開いた状態。残酷ではあると、改めて思った。そして淡々としている闇医者が、アンドロイドがまた奇妙で歪。
理解出来ない内容を持って、ぼんやりとした不安と恐怖、興奮、せり上がって来る。後の話は、放った後になるだろう。

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