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短篇
エロいかなヴィラン?7
二度の実証と追加しての摘出を一度、そして爆発を三度経て間違い無く輝石は性欲と負傷に呼応して炸裂するのだと断定出来るレベルまで実証が進んだ。輝石自体を分割したが、それでも区画の一つが使い物にならなくなった。
犠牲に関しては目をつぶる必要すらないというのは龍人からの言葉である。ちょうど輝石がどうして爆発する様になったのか、仕組んだ人物の裏を調べる必要性の様に。何よりも対策が出ない今こそが良い機会だと。

「…………」

やれと言われた以上深くは考えずに造らなければならない、成し遂げなければ明日の命すら危ういのが現状で、このまま進めていれば多くのヒーローもヴィランも、または義手義足を取り扱っている一般人までもしかしたら。
悪に挑めるだけの力が必要ではないのだからバッテリーを用いるのが主なもので、分割した輝石を引退ついでに引き渡したヒーローも幾らか存在する。一欠片あれば日常生活に十分過ぎる程の力が。
ごく小片であったとしても爆発してしまえば装着者の命を奪い去るには十分過ぎる程の力があるのだろうし、被害は更に甚大になるとも分かっている。それでもボタンを押す。擬似的な脳波を輝石に対して送ってみる。
防壁の中で輝石は爆発しない。脳波というもの、電気信号は微細でデリケートな代物であるとは分かっている、まだ必要なものが足りない。延々と性欲を感じる脳波まで調整するのも構わないかと思ったが、時間は大いに掛かるだろう。

「……すいません、お願いが……」

ヒーローの監視、輝石の調査の為に用意された監視室の中にはそこそこ物が増えてもいた。飲み物を飲む為のコーヒーに機材を濡らさない様にコースター、闇医者の尻の下にはクッションが敷かれて、寝袋まで用意されている。
闇医者用の寝室まで用意しようと思えば好きに出来るだろうが、そこまでの時間が惜しい様に思えたから、といった理由を返した時には黒龍人に怪訝な表情を浮かべさせたものだ。
壁に備え付けられている内線の通信機を使って、名前も知らない黒龍人よりは下っ端であろう相手へと指示を送る。貢献している限りは、何も問題は無い。女を呼んだとしても。

「カップルと脳波計とコピー、エアで膨らむダブルベッドにカメラ」
『……はい?』
「……いえ、少し狭いですね。脳波計諸々の機材とカメラと寝室を確保して下さい」
『……はい?』

実際に性欲を感じている場面の脳波を計測、それを元に作り出そうと考えた。性欲が沸き上がっている状態とは間違い無く男女間の、同性もあるだろうがセックスだろうと考えた。
だからこその要望は、何度目かは分からないが呼んだ下っ端を困惑させた。毎回通信に付き合う程龍人は暇では無いだろうし、ヴィランの中で付き合ってるカップルが居ない訳は無い。居なかったならばその時はその時で。

「…………」「やあ。待っていたぞ」

数日後、手配された部屋には各種機材と、湯上りの様にバスローブに身を包んだ黒龍人が居た。はだけさせた胸元から足にもあちこちに目立つ傷跡が残っていて、
疑問に思っている間にベッドから立ち上がった彼により、闇医者は身体を簡単に持ち上げられ、押し倒された。

「……どういう事ですか?」「脳波計を調べるのであれば、これが手っ取り早いだろう?」
「どうして、自分を?」「言わば愛着だな…それとも、性欲を感じていないと思っていたのか?」「…………」

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