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三、



「てか天パ天パうっせェェェェェエェ!!!」

「天パに悪い奴はいねぇんだよ!!」



………。



「よし、あんたいい人だわ」

「ついでに黒髪短髪ストレート乙男もね」

「何意気投合しちゃってんのあんたら!?」


握手を交わし、頷き合えば新八から鋭いツッコミを受け、はぁ。と溜息をつく


「ところであんた誰アルか?」

「おー神楽ちゃんだー可愛い漫画で見るより可愛い、やっぱ生だねーうん。」


若い子っていいなーと神楽の頭をグシャグシャと撫で回す女

よく見れば、スラっとしていてこう引っ込んでる所は引っ込んでて


「ボン、キュッキュか」

「あんたは……
で、なんで僕達の事知っているんですか?」

「アレだろ、万屋銀ちゃんの名前も色んなところに響き渡っているってことだろ」


なぁ?と女に聞き返せば、何故か俺の頬を思いっきりつねって来る


「ふぁふぁふぇのいひふぇふぁっ?」

「新手のいじめじゃねぇよ……夢じゃ、無い?」


イテェよ。とほっぺを摩れば、女の顔が見る見るうちに青白くなっていき




「と、し…」

「歳?」



ッ―――!!!と声を上げ目を見開き、勢いよく辺りを見渡し始める




「やだっ、行かないで」




刀をぎゅっと握り締める姿




「何処ッ!?何であたしは此処にいるのッ!?」




キョロキョロと何かを探すように動き回る




『―――――和泉』






「―――歳三さんッ!!!!」



ハッと俺が気付いた時には
女は桜並木の向こう、河原へと走っていて


「ばっ!ストップストップ!!
それ以上行ったら水浸しなるぞ!?」

「イヤッ!放して!!放せッ!放せって言ってんだろッ!!!!」


あの人が危ないッ!

そう叫ぶ女から、血が流れ出ている事に気がつき



(こいつ、何でこんなに血だらけなんだ)



自分の血ではない、返り血と


腹から下へ流れたのであろう足元には真っ赤な血がポタポタと落ちてゆく



「っ、いやッ……置いてかないでっ


あたしは、あなたがいな、い……と」



最後の言葉が微かに聞こえ、フッと意識を失う


「駄目……ねぇ」


こんないい女を捨てる野郎は何処のどいつだ。と思いつつ
しゃあねぇな。と女を抱き上げ、呆然とする新八と神楽に話しかける


「けぇるぞー、こいつの手当てもしねぇといけぇねしな」

「いいんですか?その人必死に誰かを探してましたよ?」

「馬鹿か新八、怪我をした女を放って置く訳には行かないアルよ」

「ハイハイ、神楽ちゃんカッコイイ事言ったねー」


ギャアギャア騒ぐ二人を尻目に、俺は足を進める

抱き上げている女の泣き顔を、コイツらにみせたくねぇ。と思ってしまったから



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