鮮血のRelease
謝罪
「…それは……」
彼はなんと言うつもりなのか。ねぇ守護者を見捨てるようなマフィアのボスさん?此処で拳銃を片手に走ってきたら面白いのに。走ってドアに逃げて、さっき山本と獄寺と殺り合った時に張った設置型ワイヤーで。ね?
「ごめん…!!鎖ちゃん…!!」
そんなことを考えていたせいか、一瞬、何が自分の身に起こったのかわからなかった。
沢田は…沢田綱吉は…
私を抱き締めていた…。
「確かに俺達は繕う事が出来ない程の過ちを犯した…。自分達にはないもの持っていたから…拒絶してしまったんだ」
「ツナ君……」
「弱い人間でごめん…。…こんな事言える立場じゃないけど…もう一度…もう一度だけ…信じてくれないかな…?」
私の左肩に一滴、雫が溢れ落ちた。
謝らないで…
ごめんね…ツナ君…
もう…良いよ……
ずぷり
「えっ…?」
ギラリと沢田綱吉の胸で光る愛用のナイフ。じわじわと奴の服を紅に染めていく。
「私の武器はワイヤーだけじゃないんだよ」
袖に隠し持っていた短刀をさらに深く心臓に埋め込んだ。捻りつつゆっくりと抜き出す。血管に空気入っちゃったからもう助からないね。
「ぐぁ…!!クソっ…!!」
「随分虫がイイ話だよね。"もう一度信じて"?それは今逃げる為の口実でしょ?大体、そんな上辺だけの言葉で赦してあげる程私は甘くない。これが10年前の代償だよ」
沢田は笑いしながら膝をつきつつ地に崩れ去った。
「あははは!本当に10年前と違うんだね!あはははははは!あはは…は………」
寝転がりながら凄い形相で私を睨み付ける。あぁ今、君は無力だね!
「………お前も地獄に堕ちろ。化け物」
「遠慮しとくよ、ふふふ」
返事がもう返って来ない。
終わったんだ…!全部全部全部!!忌々しい過去を全部!!
自然と笑い声が漏れる。
止まらない。嬉しくて嬉しくて!
汚ねぇ安っぽい涙と共に逝ケ
笑いが引いてから数分後、廊下が軋んだ。白蘭だ♪
「白蘭!」
「終わったのかい?これでやっと過去の恨みを晴らせたね」
「うん!白蘭もミルフィオーレの邪魔をする奴等が居なくなって嬉しいでしょ?」
両手を広げる白蘭の腕の中へ飛び込む。あたたかい…。
沢田は冷たく感じた。心がこもってないからそんなものだろうけど。
「……鎖チャン…僕も…居なくなるんだ」
「………え…」
白蘭の声が急に沈む。居なくなる?何で?ちゃんと邪魔者は消したよ?
どうして―――…
ショックを受けていると白蘭の身体が淡く光だした…。
2010/07/11
※修正致しました。
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