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幸せ構ってちゃん(ゼロしい)
(学パロ)





ムシムシと未だに暑い通学路。
後頭部で両手を組ながら、ゼロスは前方を歩くしいなの汗ばむうなじを見て、若干(いや、かなり)邪なことを思う。まあ暑いから頭が沸いているってのもあるが、こちとら健全な男子高校生である。生理現象だよな〜なんて彼女が聞いたら怒りそうな言い訳を内心してみたり。



「おっ、水玉…あだっ!」



そしてついつい目の前でヒラヒラしている布をおもむろに捲って一言。言ったあと直ぐに飛んできた拳に悶えつつ、この反射神経ただ者じゃねェ…なんて実にくだらないことを考えてみたりして。



「よっぽど殴られたいんだね、アンタ」

「だから殴ってから言う台詞じゃねェって!殴る前に言えよ!」

「殴られるようなことするからだろ!」



いつもながらに厳しいお言葉。
痛ェ…なんて顔を擦りながらチラリと表情を盗み見れば、予想通りの怒り顔である。そういやコイツ俺の前じゃ怒ってばっかだなあ…なんてふと思う。いや、此方が怒らせるようなことをしているのだが。何せこの「しいな」という少女は『百戦錬磨のゼロス様テク』が全く通用せず、学校ではモテ男である筈のゼロスが、スカート捲りだなんていう今時小学校低学年男子もしないようなアピールしか出来ないという有様なのだ。これではただの構ってちゃんではないか。…いやいや自分は構ってちゃんではない断じて。



(ゼロスって意外に『構ってちゃん』ってやつだよなー)
(はあ!?んな訳ないでしょーよ!)
(でもみんなそうだって思ってるぞ)
(え…クラス内の俺さまのキャラって…)



不意に悪友の認めたくない言葉を思い出し、がっくりと肩を落とす。カッコ悪過ぎである。というか皆ということはしいなもそう思ってんじゃねーか畜生!泣きたい!



「はー…もう嫌」




思わず両手で顔を覆うと、しいなが真っ暗な視界の先で慌てているのが分かる。ナニコレカッコ悪いしダサい。



「ちょっ、泣く程痛かったのかい…!?」



違う別のとこが痛むんですよしいなさん。もうやだ本格的に泣きたい。薄らと涙の膜を張る瞳で、心配そうに此方を見ているしいなを見つめる。



「なあ」

「な、なにサ」

「俺さまって構ってちゃんなの?」

「へ、」




その言葉に、しいなは目を真ん丸くしたあと。徐々に可笑しそうに顔を歪めて、遂には堪え切れずに噴き出してしまった。ゼロスとしては真剣な質問だった訳で、何だか複雑である。よく考えれば、我ながら可笑しな質問内容だったかもだが。




「なっ、…わ、笑うことないだろ!」

「や、だ、だって泣きそうな顔して何を言うかと思えば…あはは」

「〜〜〜っ、もういい!」

「あ、ははっ、ちょ…待ちなよゼロス!」




恥ずかしくて顔から火が出そうだ。我慢出来ずに先を歩けば、涙が出る程おかしかったのか。しいなが涙を指で拭いながら此方を追い掛けてくる。




「アンタ、意外に可愛いところあるじゃないか」

「もういいだろその話は」

「まあまあ、機嫌直しなよ。お詫びに餡蜜でも奢るからサ」

「…なに、それってデートのお誘い?」

「ま、今日はそういう事にしといてやるよ」




不敵な笑みで挑発的に言ったつもりだったのだが、やはり今回はどうやら負けのようである。余裕ありげに言葉を返されて、思わず苦虫を潰したような顔をすると、隣でまた笑われてしまった。




でもまあ、何だかんだいっても笑うしいなが見られて良かったかもなんて思う辺り、惚れた弱みってヤツなのかもしれない。



一生勝てる気がしません。
(それで良いと思ってる自分は手遅れかもしれません)





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ビバ!ゼロしい祭!
難産でした遅刻もいいとこだスミマセン…


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