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何考えてるんだ?(アスパス)




初めて会った時から。
現在に至るまで、ずっと。
悔しいけれど、未だに『パスカル』という人物が分からない。だが実のところ一番分からないのは、そんなパスカルを異性として好きになってしまった自分自身だった。



(いつの間にこんなことになったんだ…)



我ながら、随分難儀な道を選択してしまったものだと思う。そりゃあ今までだって、何だかんだ困難な道を通って来た。運命に翻弄され、時には自らの手で選んで。今までだって、それなりにはあったのだ。だがこの手の問題については、アスベルは全くもって素人だった。シェリアやソフィならまだしも、相手はあのパスカル。未だに理解出来ない部分があるパスカル。理解したくて話題を振るが、最終的に訳が分からなくなってしまうのだ。それでも姿を見れば胸が疼くし、自然と目で追ってしまう。こうなったら負けを素直に認めるしかないではないか。

因みに、自分ではそこまでパスカルと意見が合わない…とは思っていなかったのだが、パスカルにはそう思われていたようだ。否、自分で気付けなかっただけなのか。その辺りは今現在も考えを巡らせているところである。


何気に、ヒューバートのほうがパスカルを理解出来ていて悔しいとすら最近は思う。でもだからって、弟である彼に聞くのは複雑である(ヒューバートがパスカルに好意を寄せているのは、マリクに聞いて知っているからだ)。



どうすれば良いか、なんて決まっている。努力あるのみだ。相手を知ろうとすることが大事なのだから。其処まで考えて、隣でふわふわ揺れている赤と白のグラデーションの頭に視線を移す。



「なあ、パスカル」

「ん?」

「今、何を考えてるんだ?」



ぱちり、と大きな琥珀色の瞳とかち合う。凄く綺麗な色だなあと思う。吸い込まれそうだとか、目が合ってちょっぴりどきっとしたとか、まあこちらが考えていることなんて向こうは想像もしないだろうが。いつものように楽しげに身体を揺らしながら、パスカルがからから笑う。



「うんとね、大輝石のこととか〜、あとバナナのこと!」

「あはは、そっか」

「あとね、」

「ん?」



不意に、少しだけ大人びた表情を浮かべる。アスベルは、思わずはっと息を飲み込んだ。そんな表情が出来るなんて、今まで知らなかった。



「アスベルのこと考えてたよ」

「…えっ、」

「シェリア〜〜、お腹減ったよ〜」

「ちょ、おい、パスカル!」



今のって、一体。
それは空腹を訴えて急にシェリアの元へ走って行ってしまった本人にしか分からないことだが、何だか聞くに聞けず。熱を持ったままの頬を隠すのも忘れて、仕方ないかと頭を掻いた。単純なようで、実に難解なパスカルの思考。本当の意味で理解するにはまだまだ時間が掛かりそうだと、アスベルはため息をつくのであった。




俺ばかり好きでくやしい
(案外そうでもないかもよ?)



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アスパスへの3つの恋のお題:きらきらとまばゆい光/俺ばかり好きでくやしい/しらじらと明けていく夜 http://shindanmaker.com/125562


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