好きですか?好きですよ(マリパス)
ただの無機質な機械音の筈なのに、聞こえればこんなにも幸せになれる。我ながら単純だと、苦笑いを浮かべた。
時折懐から鳴る通信音。
パスカルからのもの。此方の休憩時間を見計らって通信してくるのは、アイツも多少は成長したなと口元を緩める要素になってしまう。通信機は何度かの改良の末、音声のやり取りも出来るようになり格段に進化していた。始めのうちは文章のやり取りのみだった筈なのに…高性能になったものである。通話のボタンを押し、耳にそっと押しあてる。直ぐにパスカルの元気な声が聞こえた。どうやら変わりはないようである。
「教官?」
「どうした」
「今休憩中だよね?」
「ああ。何か用事か?」
「あはは、なんか急に声が聞きたくなっちゃってさー」
向こうから嬉しそうな声が聞こえて此方も笑ってしまった。中々にグッとくる口説き文句だ。何処で覚えてきたのだろうか。まあそれを素で言えてしまうのが、パスカルという人物なのだが。仕事の為ストラタに来ているのだが、離れている気がしないのはとても有り難い。声だけでも随分と励みになるものである。だが、そろそろ声だけでは辛くなってきたところ(かれこれ一週間は顔を見ていないのだ)。だからと言って、いい歳して恋人に会えなくて淋しい、なんてごねるつもりはないが…
「パスカル」
「ん?」
「お前の顔が見たい」
少しの間。
そのうちに通信機の向こう側で、パスカルがくすくすと笑ったのが分かった。笑うな馬鹿。会いたいものは会いたいのだ。それの何が悪い。なんて開き直るのも何だか恥ずかしく、注意出来ないでいる。
「あり、もしかしてあたしの顔忘れちゃった?」
「茶化すなパスカル」
「あはは、冗談だよ。あたしも教官に会いたいなあ。でももうちょっとだもんね」
「お前にそれを言われるとはな」
「ふふ、寂しんぼだね教官は」
「おい、」
「まあまあ」
帰って来たらいっぱいギュッてしてよ、教官。
また随分と、可愛らしいことを言うものだ。それも包み込むような慈愛に満ちた声色で、まるで母が子に諭すようなそれには流石のマリクも苦笑する。此方もしてやられてばかりでは此方もたまらない。返答代わりに通信機に拙い愛の言葉を囁いて、マリクはそっと目を閉じる。向こう側で赤面した彼女を想像して、柔らかく微笑みを浮かべるのだった。
今、何してる?
(お前のことを考えてたよ)
マリパスへの3つの恋のお題:すき、きらい、すき/今、何してる?/きらきらとまばゆい光 http://shindanmaker.com/125562
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お初マリパス。
大人同士って良いよね…マリパスも好きですよ!
※3/3、加筆修正。
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