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意地悪だね(リチャソフィ)





(好き)
(リチャードが、好き)



二人だけの秘密基地。
心の中でその言葉を繰り返しながら、ふわふわとした気持ちで隣に座るリチャードを見つめる。いつからだろうか。リチャードに対する「好き」がアスベルやシェリア、ヒューバートやパスカル、教官とも少し違う「特別な好き」になったのは。リチャードのことを思うと胸の辺りが苦しくなったり、温かくなったり。それを意識するようになってから、心の中がとても忙しい。そういった感情に詳しくはないソフィがポツリとシェリアに聞いてみたところ、「それはきっと陛下なら教えてくれるわ」とアドバイスを貰ったのだ。それをそのままリチャードに伝えると、ギュッと抱き締めて意味を教えてくれた。こうして「おつきあい」をすることになってからも、変わらずこうして秘密基地でまったりと二人の時間を過ごしている。変わったのは時折リチャードが抱き締めてきたりすることぐらいだろうか。



「…ソフィ」

「なあに?リチャード」

「僕の顔に何か付いてる?」

「ううん、付いてないよ」

「…そうか。あまりにソフィが僕を見つめるものだから、何かあるのかと思ったよ」



クスクスと笑いながら続けるその言葉で、ソフィはハッとする。どうやらだいぶ長い間、リチャードのことを見ていたようだ。今彼は読書をしているから、邪魔してしまってはマズい。ごめんねと謝罪すると、直ぐに視線を反らした。



「おや。どうして謝るんだい?」

「だって、リチャードの邪魔したくないよ」

「邪魔だなんて思わないよ」

「本を読むのに集中出来ないから」

「うーん…困ったな」



頑なにこちらを向こうとしないソフィにリチャードは苦笑した。こうなると案外、ソフィは頑固なのだ。正直に言えば本なんて二の次だ。二人で過ごす時間が、大事なのだから。確かに見られているのは少し恥ずかしかったけれど、それは嫌な気分にはならない。絶対に。



「ソフィ、こっちを見て」

「だめ」

「…ソフィ」



だめ、だなんてそんな。
こちらを思ってのこととはいえ、少し寂しいと思ってしまう。それと同時に、拗ねていないのにいじけているみたいで、可愛いとすら思うのは惚れた弱み、というヤツなのかもしれない。リチャードがそんなことを考えているなんて想像すらしないソフィは、未だに頑なにそっぽを向いている。そろそろ首が痛くなってきたが、でもそんなことは関係ない。リチャードには本を楽しく読んで欲しい…今はその気持ちでいっぱいだった。


のに。


「…ソフィは意地悪だね」

「えっ、うわあっ」



意地悪だね、だなんて楽しそうに笑いながら言われてしまった。そのまま引っ張られて、すっぽりとリチャードの腕の中に納まってしまう。どういう意味?と問おうとして見上げた瞬間、



「どういう、」




リチャードの顔が近付いてきて。唇に温かいものが一瞬だけ触れて、直ぐに離れてしまった。何が起こったのか理解出来ずにきょとんとしていると、リチャードの方が顔を赤くした。



「驚かせたかな?」

「ううん。よく分からなかった」
「…それはいけないね」




ラストチャンスだよ、と言いながらまたリチャードの顔が近付く。何故だか恥ずかしくてギュッと目をつぶると、触れる寸前でクスクスと笑われてしまった。



「リチャード、ひどいよ」

「ごめん。あまりに可愛いものだから」



ちゅっ、と軽いリップ音がして顔が離れていく。今度はキスされたのだ、と理解することが出来た。何故だか顔の熱が取れない。でもそれはリチャードも同じのようだった。顔を見られたくないのか、胸にそっとソフィの顔を埋めさせる。



「僕はね、ソフィ」



そのままの体制で、ソフィは耳を傾けた。



「本を読むことは好きだよ。でも、ソフィのほうがもっと好きなんだ」



その言葉でじんわりと、胸の辺りが温かくなるのが分かる。好き、の気持ちがどんどん強くなっていく。



「だから、邪魔だなんて思わないで。そんなことを言われたら、僕が悲しいよ」



ね?
そう言いながらも抱き締めてくる腕が優しくて。それに答えるようにソフィもそっと、背中に腕を回したのだった。




そんなところも好きだよ
(カニタマよりも、好き)



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リチャソフィはジャスティス。


リチャソフィへの3つの恋のお題:そんなところも好きだよ/いつまでも交わらない、ねじれの関係のように/朝になった、夢じゃなかった http://shindanmaker.com/125562


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