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別にそんなんじゃありませんから(ヒュ→パス)

(学パロ)



ジーワジーワ。
窓の外で蝉がひっきりなしに鳴いている。元々暑さに弱いパスカルは、それを聞いて更に怠そうに目を細めた。ちょっとした用事で学校まで来たはいいが、暑さにやられてヘバってしまったのである(不幸中の幸いにも、用事は済んでいるが)。現在パスカルが居るのは、部室付近の廊下である。誰も通らないのをいいことに、そのまま地べたに座り込んでいる。丁度座り込んでいる場所は日陰になっており、パスカルにとってはうってつけの場所なのだ。こんなところを自分を知る誰かに見られたら、何かしら注意を受けそうだが。



「あつい…溶けちゃうー…」

「こんなところで何をしてるんですか」




独り言の筈だった言葉に、反応を返した人物が居た。すっかり暑さで茹ってボーッとした頭では薄い反応しか出来なかった。が、なんとか顔を上げる。すると其処には、クラスメイトの弟――ヒューバート。ものすごく怪訝そうな顔で、こちらを見下ろしていた。



「おとーと、くん…」

「…大丈夫ですか?」




なんとか相手を表す言葉を口にするが、それ以上言葉にならない。その様子に少し焦ったのか、ヒューバートはしゃがみこんで顔を覗いてくる。やっぱり優しいなあ、とボンヤリした頭で思う。本人に言ったら眉間に皺を寄せて否定しそうだから言わないが(今、眉間の皺が普段よりうっすらとしかないのだ。だから勿体ない)。



「…こんなところに座り込んだままなんて迷惑になります。気分が悪いなら、保健室に…」

「……」

「…先輩?」



声を絞りだした筈が小声になってしまう。それに気付いたのか、青年が仕方ないとため息をついて耳をこちらに近付けてきた。とりあえず、涼しい場所に行けば大丈夫だと伝えなければ。このままだと本当に保健室に連れて行かれかねない(保健室は苦手なのである)。



「…涼しい場所に連れてって…」

「…先輩の用事はもう無いんですね?」

「…うん…」

「……仕方ない、ですね。僕ももう帰るところでしたから、少し付き合ってあげますよ」




何故か少し目線を泳がせてから、手を引っ張って立ち上がるのを手伝ってくれた。照れたように顔を反らしてそんなことを言うので、パスカルは不思議そうに首を傾げた。なんで今のタイミングで照れるのか。少女にはさっぱり理解出来なかった。




夏の先輩と後輩くん。
(バナナシェイク奢って貰っちゃった!!)




(そういえばさ、なんで弟くんあそこに通り掛かったの?おかげで無事学校から戻れたけどー)
(えっ、な、何ですか!僕が通ったらダメだとでも!?)
(いや、そうは言わないけどさ。帰る途中って言ってたのに、それにしちゃ下駄箱とかから道逸れてたなあって)
(……見回りですよ。いけませんか)
(あっ、そっか〜。弟くん真面目だなあ)
(………)



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夏休みの学校にて(夏休みじゃなきゃ、学校帰りにどっか寄ったりしないよ!ヒューバートだから←)ヒューさんは風紀委員っぽいよね。でも実は見回りじゃなくて先輩に会えないかなーとした寄り道だったのでした(本人は誤魔化せたが)


あきゅろす。
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