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しょうがない奴(ゼロスとロイド)
(学パロ)




夜中の一時を少し過ぎた頃。
自室でテレビゲームに夢中になっていたロイドは大きな欠伸をしながら伸びをした。飽き性のロイドが珍しくやり続けているのは、自分によく似た青年が主役のRPGだ。幼なじみのジーニアスから面白いよ!と勧められて借りたもので、確か君と響き合うなんちゃら…とかいう奴である。まるでゲームの世界に入り込んだかのように感情移入が半端なく、こんな時間までコントローラーから手が離せなかった。



「うわっ、もうこんな時間か!?早いなー」



正直、続きが気になって仕方ないのだが…流石にもうそろそろやめて寝ないと明日に響く。なんで明日も学校な平日にこんな面白いものを貸したのか…なんて貸した張本人である幼なじみにちょっぴり内心八つ当たり。まあ恐らくは飽き性な自分をよく知っているが為に、すぐに止めること前提で渡したのかもしれないが。明日会った時にでも、もう暫く借りたいことを伝えよう。『ええっ、ロイドが!?』とか言われそうだが、その辺りはハマってしまったのだから仕方ない。素直に貸して欲しいと言えば分かってくれるだろう。


もう一つ欠伸を零す。
ああ、いい感じで睡魔がきた。このままベッドにダイブさえしてしまえば、直ぐに夢の世界に入れるだろう。そのままのそのそベッドに近付いて、うつ伏せに身体を預ける。明日の朝飯何かな〜なんてぼんやり考えて、そのまま布団に包まりゆっくりと瞼を閉じた。




──ピピピピピ、ピピピピピ。




突然聞こえた音にゆっくりと目を開ける。まだ目覚ましが鳴るにはいくらなんでも早過ぎるのだ。顔だけ音のするほうに向けると、携帯のランプが点滅していて。たった今横になって寝ようとしたロイドは、起き上がることすら面倒なのでスルーしようとする……のだが。




──ピピピピピ、ピピピピピ。



………しつこい。
こんな夜中に誰だ?だなんて愚問である。こんな時間に掛けてくるヤツなんて、知り合いに一人しかいない。今だに鳴り続ける携帯をジト目で見て、ため息。きっとこれはロイドが電話に出るまで鳴り続けるだろう。冷たかった布団が漸く温かくなったのに…ロイドは起き上がって、携帯を手に取った。



「……もしもし」

『あ、もしもしロイドくーん?今何してんのー?なーんつって』



案の定である。
今の時間に似つかわしくないテンションの高い声。仕方ないヤツ、というようにロイドはため息をついた。それでも怒る気にはなれなくて、言い聞かせるように言葉を続けた。



「お前なあ、今何時だと思ってるんだよ」

『…えー、何時?』

「一時過ぎだよ一時過ぎ!」

『でっひゃひゃ、マジかよ?ハニー夜更かしし過ぎじゃねー?』

「電話してきたお前が言うな」

『…そりゃそうだ』



ぴたり。
そこでゼロスは無言になる。アレ?と感じたのは違和感。珍しく思いながら、ロイドは疑問をぶつけることにする。



「……で?」

『あ?』

「用件は?」

『んーにゃ、別にねェけど何してんのかなーって思って』

「…じゃあ、もう切っていいのか?」

『えー、ロイドくん冷たーい。大親友のゼロスくんが、せっかく電話かけてきたのに〜』

「誰が大親友だよ…」



そこまで言ってロイドから欠伸が漏れる。それを聞いて、ゼロスは可笑しそうに笑った。



『でっひゃひゃ!じゃあまあ、冗談はこの辺にしてそろそろ切るわ。ハニーマジで眠そうだしな』

「待てよ」

『……は?』



とても怪訝そうな声だ。そんなに変なことを言っただろうか。



「お前今どこに居るんだよ」

『どこって…あったか〜いゼロスくんの自慢の部屋に決まって、』

「ふーん…。お前の部屋って、たまに車が通る音がするんだな。何回か行ったことあったけど気付かなかったぜ」

『!』



ゼロスが狼狽えたのが分かった。
ガチャリと重い金属音がする。
それで何となく、居る場所が分かったロイドはおもむろに自室のカーテンを開けて、見えた景色に苦笑いを浮かべた。



「通りで寒いと思った」

『……』

「外に居たら風邪引くぞ。どうせ傘、持って来なかったんだろ」

『……』



そのまま押し黙るゼロスに肯定と判断して、ロイドは上着を手に取った。そして一度携帯を置いてから羽織ると、ちょっと待ってろよともう一度携帯に向かって伝える。



「今からそっちに行くから、そこ動くなよ」

『…好きにすれば』

「ったく、可愛くないヤツだなー」

『お節介過ぎ。お前』

「それで良いよ別に。それが俺なんだからさ」

『…チッ』



拗ねたような声に笑う。
お節介が嫌なら、こっちに電話してこなければ良かったのだ。それを承知で電話したんだろうと言えば、益々いじけてしまうと分かっていたのでそれは伝えないでおく。



「じゃあ切るぞ。直ぐ行くからさ」

『…俺さまは頼んでねェけど、お前がそこまで言うなら待ってるわ』

「はいはい。じゃ、切るからな」



パタンと携帯を閉じてロイドは階段を降りた。素直じゃないし可愛くもないけど、どうもアイツは放っておけなかったりする。でも何だかんだ向こうからも頼りにされているので、それは友達としては嬉しかったりする訳で。



雪が降る中を、ロイドは勢いよく走って行った。勿論傘は二つ持って。




真夜中の連絡網
(全く、仕方ない奴)




(反転コンタクト様)




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イメージしたのはMOTHERのBein friends。

同い年設定なのに、ロイドのほうが年上みたいな話。精神的に辛い時、ゼロスは無意識にロイドを頼ってくるといいよ。


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