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未確認生物Aについて(岡崎と風子)


それは昼休みのことだった。
いつものように、購買のパンか食堂で昼食を取ろうと廊下へ出た時、不意に後ろから声を掛けられた(いつも周りをうろちょろして五月蝿い春原はと言うと、珍しく体調不良で欠席だ。あとでからかいに行こうと思う。鬼畜だなんて言わないで貰おう。これでも友達は大事にするほうなのだ)。


「あの。岡崎さんは、未確認生物を見たことがありますか?」

「…はあ?」



開口一番にこの理解不能な電波な発言。それとこの高い独特な声。相手をするのはちょっと疲れるなと思ってしまう不思議少女──風子である(否、別に嫌いではないし悪い奴ではないんだが、その難解な言動が疲れるのである)。


振り向けば予想通り、とても自分と同い年とは思えない小柄な少女がそこに立っていた。


「何だ?いきなり。未確認生物って雪男とか、ツチノコとかのことだろ?」

「はい。実は風子は昨日、テレビで未確認生物のことを学びまして」

「特番か何かでやってたんだな…で?」

「岡崎さんを見掛けたので、何か知っていることはないかと思って聞いてみました」

「何で俺に…」


未確認生物だなんて、正直全くと言って良いほど興味がない話題である。まあコイツのことだから、深い意味はないのかも知れないが…。

と。
そこまで考えて、フッと湧いたのは悪戯心である。



「……ああ、見たことあるぜ。未確認生物」

「ほっ、ホントですか!?やっぱり岡崎さんならあると思ってました…!」


『やっぱり』ってなんだやっぱりって。その言葉には引っ掛かるがとにかく面白くなってきた。朋也からしたらかなりオーバーなリアクションを取って、風子は目を見開いている。その様子に、ニヤリと口角を吊り上げたのには気付かなかったようだが。


「しかも、この校内でだ」

「!!!」


ガーン!
効果音を付けるなら正にそれだ。大袈裟なリアクションを取るところが春原に似ているな、とふと思った。



「まさか、風子も通っているこの学校に潜んでいたなんて…どんな生物ですかっ!?」

「…ああ。なんて説明したら良いか……」



わざと悩むような表情でそう言えば、『ゆっくりで良いので、話してみて下さい』と返ってくる。
嗚呼、俺も意地が悪いなあ。でも楽しくて仕方ない。



「そうだな…まず、そいつは言動が理解不能なんだ」

「では、もし風子が出会ったとしても直ぐにわかりますね」

「更に性別はメスで、俺からすれば小柄なほうだ。かなり幼く見える」

「益々分かりやすいです。風子はオトナなので」


フンッ、と息を吐いて言う風子さん。オイオイ、俺はお前より子供なヤツを見たことがないよ、なんて思うが口には出さない。



「そして、ヒトデ好きで今俺の目と鼻の先に居るヤツだ」

「…え、?」


嗚呼、まだ気付かないのか。込み上げる笑いを堪えながら、キョトンとする風子の肩をポンと叩き、じゃあなと呟いて食堂に足を踏み入れた。


そう。
俺にとっての未確認生物ってのはさ、



(理解仕切れないところとか、な)



岡崎さん騙しましたねっ!風子は人間で、未確認生物じゃないです!と顔を真っ赤にして追い掛けてくるのはほんの数秒後の話だ。


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CLANNADの岡崎と風子。
この二人のやり取りも好きだったりします(噛み合わない感じが 笑)

しかし、やっぱり岡崎くんはドSですね…いや、そんな彼が好きですが 笑

(title:にやり様)

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