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王子様あのね、(ボスロマ)




ねえねえ聞いて?
聞いて欲しいわ王子様。


どれだけ貴方を想っているのか。
どれだけ貴方が素敵な人なのかを。




「…なあ。ロマン、」

「なあに?王子」

「……近いんだけど」

「うん、近い」

「はあ!?お前分かっててやってんの!?」

「うん」

「断言すんなよお前。何なの?…ったく…」




呆れたように脱力して、暇つぶしのジグソーパズルに目を向ける王子に私は気にすることなく微笑み続けた。



珍しく王子と私の二人だけの部室。ヒメコちゃんとスイッチくんはね、王子に言われて買い出しに行ってるんだって。ひょっこり顔を出したら王子様が一人だけで。こんな機会は滅多にないから、と用事も無いのでパズルを組み立てる様子を間近で見つめる私。



(あっ、もうすぐパズルが出来上がっちゃう。さすが私の王子!)



何時になく王子の横顔は真剣そのもので、それはほんのりと胸を高鳴らせた。こんな間近で、ゆっくりと王子を見つめられる時間がなんだか新鮮で、嬉しくて。つい考えてしまうのだ。



(嗚呼、集中する為につけるゴーグルなんてなければ良いのに)




<ジグソーパズルやゴーグルには負けない!!負けてなるものですか…!>



「…オイ、何言ってんの」




そうすればジグソーパズルは何時まで経っても出来上がらない。そうすれば私はずっとこのまま此処に居られるのに。ずっと近くで王子を見ていられるのに───



「…ロマン」

「はっ、はい!!!」

「んなひと昔前の漫画みてーに反応しなくて良いからよ。…なにボーッとしてんだお前」


<もしかして、私のことを心配してくれてるの…?>


「オーイ聞こえてんぞ声が。つーかちゃんと俺の話聴いてんの?お前。おっしゃ!完成ぃ!!」





パチリ。
最後の1ピースを置く音がして。ああ、完成しちゃった…。ただ黙って見つめる時間は凄く貴重なのになぁ、なんて肩を落とす。



──と、視線の片隅で王子がジグソーパズルにノリを塗っているのが目に映った。




「俺さ、」

「え?」

「前から思ってたことがあんだけどよ」

「…なあに?王子」




ペタペタとノリを塗る手はそのままに。




「お前俺のどこが好きなの」




<そんな…!王子には伝えた筈だったのに───私の想いは泡となって消えたのかしら…>



「…や、ちげーよ?つか俺聞いたことないんだけど。そういうのはいいからフツーに喋れや」

「…、」



どことなく真剣な面持ちの王子。だけどその目線の先は未だにジグソーパズル。


…何故だか胸にポッカリと穴が空いた気がする。少し悲しくなってしまったのだ。片想いだということはわかっていた筈だったのに…


今、確かに。
王子との距離を感じた気がして。



「全部よ」

「……は、?」

「王子の情けないところも、すぐ泣くところも、子供っぽいところも、メンタルが弱いところも、頼りないところも、影が薄いところも──、」

「ちょっ、お前それ褒めてねぇだろ。やめろよそういうこと言うのメッチャ気にするから!」




(あ、やっとこっちを向いてくれた)




「──でも時々格好良くて…いざとなったら直ぐ、いつでも助けてくれる優しいアナタが…」

「─、」




(好き。大好き。苦しいぐらいに)



流石に続きは言えなかったけれど、代わりにふわりと笑みを浮かべる。

バッとそっぽを向いた王子(もう、照れ屋さんね!)の耳がほんのり赤くなっていたのは、きっと私の乙女フィルターのせいじゃない。ねえ、気のせいじゃないよね?




(好きで、大好きで。傍に居れるだけで幸せだけど──たまにね、)




「ばっきゃろーんなこっぱずかしいコトをハッキリ言うんじゃねぇヨお前は!羞恥心ナシか!!」

「ふふふ」




(王子を独り占めしたい…とか、私にだけ笑って欲しい…なんて欲張りになっちゃうの)
(私だって貴方に嫌われちゃうかもって不安にもなる、)




「"ふふふ"じゃねーよ!…あーもーそっち見れねぇ!」





(ワガママでごめんね)




「もしかしてまたあの微妙な顔をしてるの?」

「してねぇよ!!」



大声で否定されてしまった。あの顔の王子も大好きだからちょっと残念。




「…あのよ」

「?」



パズルにノリを塗る手を一端止めて、こちらを見る。目を泳がせて、照れ臭そうに頬を掻いて。なんだか不思議な表情をしている。




「俺もその…なんだ。お前のことはキライじゃねぇよ」

「えっ…?」




ドキドキと高鳴る胸。
ああ、神様。私またもしかして夢を見ているんじゃないかしら!


私の大好きな王子が、好きで好きでたまらない王子が私のことを──



「どっちかっつーとよ、その…す、好きなんじゃね…?」



ああ、神様。私今なら空も飛べるわ。これが夢なら覚めないで欲しい。

だってだって、あの王子が──




(彼も私と同じ気持ちだなんて!)





「…ろ、ロマン?」





もしこれが本当の本当に夢じゃないなら、ねえ。



私の言うべきことはただ一つ。
私の伝える気持ちはただ一つ。




「…ねえ王子。聞いて欲しいわ」

「いや、別に良いけどよ…なんでいきなり?俺の話無視??」

「あのね、私───」

「…おーい」




王子様あのね、
(愛の言葉を囁きましょう)




(たくさんたくさん聴いて下さい)



実は冗談じゃ無かったりするんだけど…




Fin


───────
…はい。
突発的に思い付いたボスロマでした。ボスロマというかボス(→)←←ロマ?意味不スミマセ…っ;;

とにかく、乙女チックメルヘンチックなロマンちゃんを書くのが楽しかったッス(´ω`*)あと、ヒドイ扱いのボッスンも(爆)ロマンちゃんを出した故に、いつもより少女マンガみたいな甘さ・乙女度がUPしてます(当社比)←

<>←を使ってロマンがよくやるアレ(少女マンガ特有のモノローグ)を表現するのが面白かった 笑

ボスヒメはもちろんのこと、ボスロマも好き^^銀さちとかと同じ原理で、何だかんだいってボッスンも万更でも無いと良い(´∀`)

ギャグみたいな展開で告白しちゃうとボッスンもツッコミ入れてスルーだけどさ、真剣に告白されたらそりゃあちょっとは揺らぐでしょうと。万更でもねェけど…的なのが良い。ボッスンが言った「好き」の深い意味は読者の方にお任せしますが(´∨`*)← 一織しかり…片想いしてる女の子は基本管理人は応援したくなるので(^^*)

キャラが崩れてない…と良いなぁ…(・ω・`)←

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あきゅろす。
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