※*Ti Amo(シュタメデュ)
(泣いてくれてるの?)
「貴方を、愛してるのよ」
未だに耳に絡み付いて離れない、あの魔女のうそみたいに綺麗な愛の言葉。
─貴方が好きよ。
(うるさい)
─愛してるの、
(嘘を付くな)
──ねえ、
(黙れ)
もうそれ以上何も言わせないように
(もう何も聞こえないように)
魔性の女の口を巨大な鎌で塞いでやった。
(ザシュッ)
振り下ろした後は耳障りな音は何も聞こえなくなって。怖いぐらいに静寂に包まれて、紅を浴びた。
(馬鹿な人だ)
愛や恋なんて幻想だ。信じないし信じられる筈もない。
所詮はより良い遺伝子を求める"本能"によるものだろう。
(それにね、何度も言いますが俺や貴女には一生わかりっこない感情なんですよ)
(愛してる、だなんて)
(そんなこと微塵も思っていないクセに)
軽はずみにそんな台詞を吐くものじゃない。俺や貴女みたいな「類い」は余計にね。
そんな台詞、軽々しく吐いちゃいけないんですよ。
幻想だ。
俺は感情持ち合わせていない。
そんな感情、知らない。
(それを否定する言葉はいくらだって思い浮かぶのに。)
こんなにも胸が騒めくなんて。
(──俺は、)
この胸にズキリと走る痛みの理由なんて知らない。
無意識に零れる透明な液体の意味なんて知らない。
知りたくもない、解りたくない。
その正体を知ってしまったら、感付いてしまったら。
今まで積み上げてきた「俺」がいとも簡単に崩れてしまいそうで、
「俺」を見失ってしまいそうで、
(今感じているこの感情は、まさに恐怖のそれだった)
血に濡れた手でグシャリと髪を掻き混ぜる。
嗚呼、嫌な女(ヒト)だ。
貴女はこうなることをきっと知っていて、敢えてそれを使ったんでしょう。
(時にそれは鋭い刃にも厄介な毒にもなることを)
転んでもただでは起き上がらない。魔性の女、メデューサ。
あの魔女が耳に残した猛毒は。
時間が経つにつれ徐々に身体を、心を確実に蝕んでいく。
(鎌で切り裂いた俺は)
(より鋭利な刄で、)
(切り裂かれた)
この涙に名前を付けるなら。
今の俺には「狂気」だ。
(俺は、俺は俺は俺はあの魔女のことをもしかしたら、もしかしたら───…)
ワ カ ラ ナ イ 。
「愛してる」だなんて。
(ねえ、私の為に泣いてるの?)
(─まさか)
(じゃあ…どうしてかしら?)
(俺は、)
(……俺は?)
ただ、自分の為に泣いている。
誰の為でもない。
この訳のわからない騒めきを無くす為に。
(さあ消えてくれ。絶望)
Fin
─────────
このシュタメデュは一回消えたもので…訳のわからない話になってしまいました…(泣)
やっぱりオチが違うー(ノд<。)゜。
惑わす魔女に振り回される博士。突発文で済みません;;
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