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『確かな強さ』








「銀さんが帰って来ましたよーっと」


明かりを落とした万事屋に、銀時の声が響く。が、返ってくる声はない。
当たり前だ。
時刻は深夜2時。普通の人間ならとっくに眠りに就いている時間だ。
だが銀時はこれでもかという程飲んできた帰りであり、まともな思考能力も皆無であったためにそんな事もわかっていなかった。

「んだよーせっかく銀さんが帰ってきたってゆーのに、お迎えもなしですかー?」

返事が返ってくる事のない独り言をぶつぶつ呟きながら、銀時はよたよたと万事屋の居間に足を踏み入れる。

相変わらず中は暗かったが、銀時は特に気にすることなく足を進めた。


今日は久しぶりに金が入ったので、近くの居酒屋で浴びる程酒を飲んできたのだ。
まぁ出かける時、蔑んだ目でガキ達に暴言を吐かれたが気にしない。駄目な大人であることは重々承知で今更だ。そんな言葉、紙に丸めてごみ箱にポーイだ。
そうやってガキ共の視線を無視し、居酒屋で一人飲んでいると、途中で長谷川と鉢合わせした。そのまま女の話題で盛り上がり二軒目に突入。
故にこんな時間になってしまった訳だけども。



どうせ明日は二日酔いなんだ。
今日はこのまま気持ちよく寝てしまおうと溶けた頭で思い、銀時は和室の戸に手をかけようとした。

ら、チラリと見遣ったテーブルの上に何か置かれているのを、銀時は溶けた頭で認識する。
闇の中、ひっそり置かれた物体。
それが何か分かった時、しとどに飲んだ酒の酔いが若干さめた事を自覚した。


「…水と、いちご牛乳、ね」


銀時は淡々とした声でつぶやく。

そう、そこにはコップに入った水と、いつも銀時が飲んでいるいちご牛乳が所在なさ気に置かれていた。
これが誰のものか、考えずともわかる。そして誰が置いたのかも、だ。


「お前は俺の母ちゃんか」


呆れたように放たれた言葉は闇に消え、銀時は深いため息をつく。そして踵を返し、それらが置かれているテーブルの前のソファーにどかっと座った。



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あきゅろす。
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