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「俺…訳わかんねぇんだ。こいつらが何を言ってんのかも、何でこんな事になったのかも、どうしてシンが今俺の腕を掴んでるのかも、何もかもわからないんだ。

俺が今、ゼロに酷いことした人達をバラバラにしたいくらいに怒ってるのっておかしいことなのかな…?


ねぇ教えてよシン。

俺は…シンを信じててもいいの?シンはこのことを知ってたの?」

掴まれた右手の手首をそのままにしてシンの顔を貫くように見つめると、シンは緊張を解くようにゆっくりと息を飲み込んだ。

そして、俺の質問のどれにも答えずに何も言わず顔を歪ませ、俺の肩に額を押し当てた。

「…悪かった。全部、気づけなかった俺の責任だ」

懺悔をするように吐き出されたその頼りない声は、何よりも真実を物語っていて。

なぜだか俺の視界は急に揺らいだ。

どんなに腹が立っていても、どんなに悔しくても、どんなにもどかしくても、俺は涙を流したくなくて、歯をギリギリと噛み締め精一杯の抵抗をした。

口を開けばシンを傷つける言葉を吐いてしまいそうで。

俺の肩に顔を埋めたまま俺の右腕を拘束し続けるシンのその手は、小刻みに揺れている。

こめられた力も、本来のシンの力と比べると半分にも満たない気がした。


多分シンは知らなかったんだ。小百合が勝手に動いたことで、シンが指示したことじゃない。

それはシンの表情や様子からはっきりとわかった。

だけどゼロを、ゼロにとって一番残酷なやり方で汚し、傷つけたという事実が俺を怒りへと走らせる。

顔を上げ、俺の腕から手を離し不安げに瞳を揺らすシンの胸元に、俺は無言で拳を当てた。

俺は涙がこぼれないように歯を食いしばり、力無くシンの胸元に何度も拳をぶつける。

シンはそんな俺の行動をやめさせることもなく、ただ俺に身を任せ受け入れてくれた。

視界の隅に衣服を整えたゼロが壁際でベリーズに力無くもたれ掛かりぐったりとしている様子が映り、俺は固く目を閉じる。


勿論この場にいる人達は全員、フック船長と兄ちゃんに怒ってもらうつもり。

だけど小百合だけは、俺の忠告を無視してゼロに酷いことをした小百合だけは、このまま何もなかったように見逃すことはできない。

悪いことをしたら、罰せられる。

それが、俺が今まで生きてきた中で学んできた絶対だ。



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あきゅろす。
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