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「アンタが今日じゃなければ無理だってんならアンタとハイジを優先する」

そう付け足し、緊張した面持ちで俺の反応を窺うシン・アベルに直ぐにどうするべきかを考えたが、別にこっちには何の不都合も無いので特に断る理由が見当たらない。

「別に俺は構わねぇよ」

俺がそう返すとシン・アベルは安心したのか表情を緩めた。

「ぇえー…?俺すっげー楽しみにしてたのに!」

眉を下げて表情を曇らせ溜め息を吐くハイジにシン・アベルは目を泳がせながら理由を述べる。

「ウチに新しい囚人が入った。だから色々とやる事があって忙しいんだよ」

「新しい囚人が入ったって事は今日は労働はないのか?」

俺がそう尋ねると当たり前だろ?昨日確認しなかったのかよ、とシン・アベルは眉をひそめた。

「そう言えば昨日青いライトが点いてましたね」

ベリーズのその発言を聞いても全くピンと来なかったのでベリーズに詳細を尋ねると、どうやら新しい囚人が入所する時はその前の日に各エリアの入り口に設置されている電子表示器に青いライトがつくとの事だった。

そう言う事は前持って知らせて置いて貰いたい所だが、囚人を基本的に放置しているこの刑務所にそんな期待をする方が間違いなんだろう。

「じゃぁもしかしてシン今日歓迎パーティーで試合するの?」

ハイジに期待をした眼差しを向けられシン・アベルは短い息を吐く。

「聞いた話じゃアリスの森とエデンにも入ったらしいからな。人数にもよるだろ。この前入所した奴らが全滅だったから今回は多めに入れて来てるかもしれねぇし」

「えへへ、シン勝てるといーね」

「…喧嘩売ってんのかてめぇ。第一今回は小百合だろうから俺は出ねぇよ」

シン・アベルがそう言うとハイジはつまらなそうな顔をした。

「お前はどうなんだよハイジ、試合に出るのか?」

シン・アベルのその言葉を聞いてハイジは目を大きくさせて俺の方を見る。

俺だけでは判断しかねるので俺はエドアンに視線を送る。

「いや、今日は俺が適当に終わらせる。みんな疲れてるだろうしな。だからお前らも今日は自由にしてていいぜ」

エドアンのその言葉を聞いて安堵しながら、今日はゆっくり過ごせそうだな、と体の力を抜いた。

「まぁ4分の1の確率だし、チェシャ猫の気分次第でどうなるかはわかんねぇけどな」

エドアンがそう呟き牛乳を一気飲みし始めると、何故かこの場にいるエドアン以外の人間が俺の方を見た。



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