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俺が居るのはネバーランド最奥でエドアンが居るのは入り口付近。

したがって、目が合うなんて事はあり得ない。

なのにどうしてそう感じてしまったんだろうか。

俺の気のせいか、そう思っていると、遠くに見える黒い影が人混みを掻き分けこっち向かって来た。

全力疾走でこちらに向かって来るのがわかり、つい辺りを見渡してしまうが近くに俺とハイジ以外の人間は居ない。

…俺に不満をぶつけに来るんだろうか。

別に俺が不満を言われる理由はない。

俺に過度の期待をしたエドアンの過ちだ。

自分にそう言い聞かせるように数回頭の中でその言葉を繰り返す俺のその思考は次の瞬間粉々に吹っ飛ばされた。

「クーラーラ〜っ!!」

俺を呼ぶ声と共に与えられたのは強い衝撃と眩しいくらいの笑顔。

俺を力一杯抱きしめるエドアンに状況についていけず硬直していると急に体が浮き上がった。

「…っ…?お前っ…!」

「ヤバいって、涙出そうだ俺」

そう言うやいなや、俺の腰を両腕でガッチリと拘束し持ち上げるエドアンは何を思ったのか、そのまま勢いよく回転し始めた。

「わー、いいなぁ兄ちゃんっ!兄ちゃんっ!後から俺にもやって!」

「よくねぇだろ…っ、何考えてんだよエドアンっ、ふざけんなよお前…マジで」

ハイジが羨ましがる所がまったく理解出来ず、エドアンのこの異常な行動は一種の俺への報復なのかと思い始めた所で、エドアンが天井に向かって叫んだ。

「クララー!マジで愛してる!!」

寝起きに遠心力も加わって俺は一瞬本気で何を言われたのか理解出来なかった。

「俺今まで本当に…、俺が居ない間に死人が出なかった事なんて有り得なかったんだぜっ?

それだけじゃない、全員五体満足だし、ベリーズとゼロが無事だし、何やったんだよお前。

独房でどれだけ不安だったか、これでもし誰かを死なせたらって、だけど俺には見捨てる事が出来なかったんだよ」

エドアンは回転するのを止め、俺をゆっくりと地面に降ろすと俺を再び強く抱きしめる。

「…サンキュークララ。お前が来てくれて本当に良かった、お前が居てくれて本当に良かった。

すげぇなお前。惚れ直したぜ、さすがは俺の親友。そして俺の未来の嫁」

エドアンは僅かに涙の滲んだ瞳を俺に向け、悪戯をする子供のような笑みを浮かべた。



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