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「お前も昨日眠れなかったんじゃないのか?腹は平気か?」

俺がそう尋ねるとハイジは肩をすくめて見せた。

「別に慣れてるし俺は平気だよ兄ちゃん」

パンを牛乳で流し込みながら嬉しそうに笑うハイジを見て俺は複雑な感情を抱く。


「…すみませんラクハさんハイジさん、僕達の為に」

「気にするな。不満はまとめてエドアンに言っておく」

俺とハイジのやり取りを見て申し訳なさそうに表情を曇らせているベリーズにそう告げ、頭を撫でてやっていると3人の囚人が近づいて来るのがわかった。

「よぉ、調子はどうだ天使様」


馴れ馴れしく俺の肩に腕を回してくる男に眉を寄せながら、俺はその男の胸元に視線を移しナンバープレートの色を確認する。

赤く光るナンバープレートを見てエデンの囚人である事がわかった。

「俺に用でもあるのか」

男の腕を雑に振りほどき、視線を合わせずにそう尋ねるとその男達は下品な笑い声をもらした。

「あぁあるぜ?まだ労働時間まで時間あんだろ?俺達とトイレでお話しようぜ?」

男のその発言に疑問を感じているとゼロに名前を呼ばれた。

「ラクハっ絶対に行くなよ」

緊張した面持ちで俺に必死に危険を知らせようとするゼロを見て、昨日の食堂での出来事を思い出した。

「何なら他の奴も連れて来てお前ら全員を相手にしてやってもいいんだぜ?」

ゼロを脅すように男はそう言ってゼロを上から見下ろす。

「大人しく俺達の言う事を聞いた方がいいんじゃねぇか?弟に何かあったら嫌だろ?」

「何かあったら真っ先にお前の所へ行ってお前の全身の皮を引き剥がして剥き出しの体を火であぶってやるよ」

男の目を静かに見つめてそう即答すると男の顔が若干引きつったのがわかった。


「あははっ、兄ちゃんエグい〜っ!でもさ兄ちゃん。俺に何かあるって事は、このお兄さん達にも確実に何かあってるよ」

「…お前、俺の居ない時にこいつらに声をかけられても絶対ついて行くなよ」

楽しそうにニコニコしているハイジにそう釘をさすとハイジは、えー?どうしてー?と不思議そうな顔をして不満そうな声を出した。

「可愛い事言ってくれるじゃねぇか。本気に取るなよただの冗談だ。俺達はお前と楽しい事がしてぇだけ何だよ」

弁解するように早口でそう訴えてくる男に俺の眉間の皺は深くなる。




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