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ゼロの左足を触り、状態を確かめながらそう尋ねる。

ゼロは阻止するように俺の腕を掴んだまま顔をしかめた。

「…言う訳ねぇだろ。お前は弱音1つ吐かねぇのに。俺を…これ以上惨(みじ)めにするなよ」

俺はゼロの左足の骨が折れていない事を確認して安堵しつつ、ゼロの言う惨めの意味がわからずに首を捻る。

「どうしてゼロが惨めなの?全然わかんないよ。ゼロが何を悩んでるのかわからないけど、俺はゼロが一生懸命頑張ってたの知ってるよ?」

ゼロの顔を覗き込みながら俺がそう言ってもゼロは首を横に振るだけ。

困ったなぁ、こういう時ってどうすればいいのかな?

…あ、そっか。

兄ちゃんがいつもやってくれる事をすればいいんだ。

だって俺はそれで元気になれるから。

俺は体が冷えてきたのか体を縮めるゼロを引き寄せ腕の中に閉じ込めた。

状況について行けずに硬直するゼロを安心させるように、俺はゼロの背中を優しく撫でながらゼロを抱きしめる腕の力を強める。


「…なん…なんだ…よ」

消えそうな声でそう訴えるゼロを不思議に思い、ゼロの顔を観察する。

ゼロは顔を見られたくないらしく、あからさまに顔を背けていたけど。


僅かに見えるゼロの横顔からゼロの緊張が伝わって、何だか俺も緊張してくる。

俺の肩に遠慮がちに置かれたゼロの手が震えているような気がしたのも、ゼロの心臓の鼓動が早く大きく感じたのも、気のせいなのか、俺の行動に驚いているのか、それとも寒いのかな、なんて考える。

「訳わかんね…何とか言えっ、つか離せよ」

何も言葉を発しない俺に痺れを切らしたのかゼロは何かに怯えるような眼差しを俺に向ける。

「おかしいなぁ…俺はいつもこれで元気になるんだけど」

「…はぁ?」

「そんなに落ち込まないでよ。俺も余計に落ち込むから。ゼロは頑張ってたよ、だって本当はもの凄く怖かったんでしょ?ゼロ」

俺がそう言うとゼロは息を飲み顔を強ばらせた。

「ベリーズがあれだけ怖がってたんだもん、直接戦ってたゼロが怖くない筈がない。それなのに逃げずに立ち向かって行けるゼロを俺は凄いと思うよ」


ゼロは俺のその言葉を聞いて何かを堪えるように切なげに眉を下げた。




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あきゅろす。
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