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そんな3人のやり取りを冷静に観察していると小百合と言う男の顔の赤みが引く気配がない事に気づく。
顔を青くするのはわかるが赤くするのはおかしくないか?
「お前のボスの出方によっては無傷で解放してやる」
壊れたように激しく動いている心臓と不自然に赤い男の顔に、恐怖でおかしくなっているのだと思い男にそう声をかけると上目使いで睨まれた。
「あぁ?俺がビビってるとでも言いてぇ…のかよ」
出だしは威勢がよかったものの男の目を見つめ黙って話を聞く俺に、男の声は次第に小さくなり激しく視線をさまよわせ始める。
「怖がっているんじゃないのなら何故顔を赤くして、心臓もこんなにうるさいんだ?熱でもあるんじゃないのか」
ナイフを持つ手とは逆の手を男の額に当て熱を計る俺に小百合と言う男は口をパクパクと動かしながら顔を一層赤くする。
「んなもんねぇよっ、気安く触ってんじゃねぇよ!!」
そう言って俺の手から逃れようと頭を激しく揺する男に俺は手を離してやり、再び男の体を固定する。
「熱はないみたいだが今日は早く休んだ方がいい。まぁ生きていたらの話だが」
悔しそうに歯を噛み締め急に大人しくなってしまった男を気にしつつ、ノアに視線を戻すとノアは何とも微妙な顔をして小百合と言う男を見ていた。
「…助けてやらなくてもある意味幸せそうだな」
そう言うノアの言葉に同意するようにシン・アベルも引きつった顔で小さく頷く。
「…ラクハさんの言っている事はかなり恐ろしい事なのに、いまいち緊張感がないのは何故なんでしょう」
不思議そうな顔をしてそう呟き首を傾げるベリーズの側でハイジは不満顔で地団駄を踏む。
「いいなぁ小百合ー、兄ちゃんにぎゅうってされて」
…羨ましく思う所が俺には見当たらないんだがなハイジ。
なかなか結論を出そうとしないノアに苛立ちをつのらせていると、近くのテーブルで俺達のやり取りを見ていた囚人が立ち上がるのが見えた。
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