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「…もういいだろ」

そう言ってテーブルの上に転がる眼鏡に手を伸ばすが俺の願いは叶わない。

「…離せ。晒し者にするだけじゃ満足できねぇとでも言うのか。これ以上俺に何をさせたいって言うんだよ、アンタ」

俺の右腕を上から掴みテーブルに押さえつけ離さないノアに無理矢理抑制している感情が零れ始める。

「何もそんなにピリピリする事はねぇじゃねぇか。せっかくそんな姿に生まれてきたんだ、隠さねぇでそのままでいろよ」

掴んだまま俺の腕に指を擦り付けてくるノアに、俺の中の厄介な俺が限界だと訴えてくる。

「…そうか、アンタの答えはよくわかったぜ」

俺はノアの腕をそのままに力一杯右の拳をテーブルに叩きつけた。

鈍い痛みを右手に感じながらもそうする事でほどけたノアの腕を振りほどき腕を引く。

テーブルから伝わった振動に驚き身を引いているゼロとベリーズが視界の角に映る。

「こんな所に連れて来て悪かった。この男は俺が思ったような男ではなかったみたいだ」

ゼロとベリーズにそう告げ立ち上がるとノアは驚きの混じった目を向けた。

「おぃおぃ、いいのかよ俺に助けて欲しいんだろ?でなきゃお前らに明日はねぇんだ。それがわかってるからわざわざ俺に交渉しに来たんだろ?それなのにこんな事で投げちまうのか?」


ノアに返事を返さずにバンダナと眼鏡を回収しようとすると寸前でノアに奪われた。

「…確かにアンタの言う通りだ。このままここを離れても俺達は食堂から出る事すら出来なさそうだな」

俺の眼鏡を手で弄びながら薄ら笑いを浮かべるノアを静かに見つめそう言うとハイジが不満気に声を出した。

「えー…?俺ずっと食堂に居るのは嫌だよ兄ちゃん」

「…心配するな。ノアが俺達を安全に外に出してくれる」

俺がそう言うとハイジはよかったぁ、と安堵の息を吐きノアは眉を寄せた。

「ラクハっ、どう言うつもりなんだよ」

これからよくない事が起こると予想しているのかゼロは涙目で俺を見つめてくる。

「大丈夫だ。お前らは絶対に無傷でエドアンの元に帰してやる」



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あきゅろす。
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