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「あ…あの、」

話合いの出来る空気になってきた所で突然ベリーズが恐る恐る右手を上にあげた。

ベリーズの声に反応して同じテーブルについている人間全員がベリーズの方へと視線を移した為、ベリーズは出どころのわからない小さい悲鳴をもらしながら口を震わせる。

「おおおち着いたとところで本題に戻りませんか」

ベリーズは見るからに不機嫌な顔をして膝を揺らしている小百合と言う男に怯えながらも話を続ける。

「ぼ僕もゼロの意見と同意見です、折角のご好意を蹴るようでたた大変申し訳ないんですが条件を変えては頂けないでしょうか」

呂律のまわっていない口調で引きつった笑顔を顔に貼り付けそうノアに交渉を試みるベリーズに俺は驚かされる。

ベリーズのこの行動はおそらくは俺の気持ちを察しての行動だと思われるが、条件を変えろと言って返ってくる条件が俺の素顔を晒すよりも厄介で到底飲めないものである確率は100パーセントだ。

俺はノアの気が変わる前に。ノアが口を開き、新たな条件を口にし始める前にベリーズに言葉を投げる。

「ベリーズ、ゼロ、お前らの気持ちはありがたい。だが俺が素顔を晒した所でこいつらが不快な思いをするだけで他は問題ない。ハイジなら兎も角俺じゃゼロの言う地獄のような展開にはならねぇよ」

俺が真顔でそう2人に言い聞かせるとベリーズは丸い目を見開いて顔をひきつらせ、ゼロは奇妙なものを見るような目で俺を見た。


…そのリアクションは何なんだ?

2人の反応に困惑しているとベリーズはハッと気がついたように言葉を滑らせ始める。

「ラクハさん、あなたは何とも恐ろしい勘違いをしてますよっ!いいですか?ラクハさんが今ここでバンダナと眼鏡を外した場合、仮に僕達の敵が3分の1になり無事に2日間生き残れる希望が出来たとしてもそれと引き換えにラクハさん1人がGleam holeの囚人全員から狙われ、ゼロなんか目じゃない位に悲惨な事になるんですよ?!」

凄い剣幕で早口で一気にそうまくし立てられ唖然とする俺をよそにベリーズの言葉に同意するかのようにゼロも怪訝そうな目で俺を見ながら言葉を吐く。

「あり得ねぇ…こいつあり得ねぇ。心臓に毛が生えたような奴だと思ってたらまさかこんな落とし穴があるなんて思いもしなかったぜ」

年下の2人に散々な言われ方をされ俺の心境はかなり複雑だった。



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