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俺の想像する通りだとしたら俺はかなり最悪な事をゼロにしてしまった事になる。

…もしゼロが過去に小百合と言う男から何かされていたとしたら。

ゼロがどんな思いで俺の提案を承諾したのか、それを考えるといかに自分が無神経で悪魔かと言う事を痛いくらいに自覚させられる。

「なぁに熱くなってんだぁ?コイツ」

怒りに体を震わせているゼロを見て小百合と言う男は不思議そうな顔をして隣に視線を送る。

「…お前のやり方が非道だからだろ。ガキを相手にする時くらい少しは優しくしてやれよ」

眉をひそめながらそう返すシン・アベルに小百合と言う男は不満そうな顔をする。

「シンちゃんはお優しい事で。つーかアフターケアはお前の役目じゃねぇかよ」

「誰もしねぇから仕方なくやってんだよ。誰が好き好んでんな事するかってんだ。反吐がでるぜ。
つかお前が遊んだ後はフォローしようがねぇんだよ」

シン・アベルが心底嫌そうな顔をしてそうボヤくのを見て小百合と言う男は口端を吊り上げた。

「そんな事ねぇよなぁゼロ、ちょーっとからかっただけだよな?突っ込んでねぇんだから」
テーブルから乗り出してゼロの顔を舐めるように見つめ下卑た笑いをもらす男にゼロの瞳に涙の膜が張っていくのがわかる。

歯を食いしばり涙を堪えるように強く目の前の男を睨みつけるゼロを見てエドアンが俺にゼロとベリーズを託した意味を肌で感じた。


「前みたいに言って見ろよ、俺は男に触られて感じる変態ですって。

あの時みてぇにイかせてくださいお願いします小百合様って言ってお願いしてみろよ。

淫乱な俺がイクところを見てくださいっつって泣きながら気持ちよさそうな顔してたお前は中々可愛いかったぜ?」

今にも涙が溢れそうなゼロの瞳を見てゲラゲラと笑っている白髪の男を黙らせようと口を開きかけると、ハイジが椅子を引く音がそれを遮った。

「もしかしてゼロ、前に怖くて嫌な事されたのって小百合なの?」

ハイジが体をゼロの方に向け真面目な顔でそう尋ねてもゼロは何も言わず男を睨みつけたまま動かない。

口を開けば涙がこぼれてしまいそうなのか、それともハイジに知られたくないからなのかはわからなかったがゼロは口を開こうとはしない。

ハイジはそんなゼロを不安そうに見つめゼロの固く握られた左手に自分の右手を重ねぎゅっと握ると白髪の男の顔に視点を合わせた。


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あきゅろす。
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