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…わかってはいた、俺の計画通りには物事は運ばないって事は。

ノアが俺の素顔を見たがっているのは面白半分だと言う事もわかる。

もっと別の厄介な難題を出されるよりは断然マシだと言う事も。

それはわかってる。


…ただ俺の中の厄介な俺が嫌だと主張する。

好奇の目で見られ侮辱されるのは嫌だと叫ぶ声が頭の中を駆け巡る。


「に…兄ちゃんっ、駄目だよ。無理にそんな事をしてまで俺達を守ろうとしなくてもいいんだからね」

直ぐに返事を返せずにいる俺を気にしてかハイジは心配そうな顔で俺の顔を覗きこんでくる。



ハイジは俺が自分の容姿を激しく嫌っている事を知ってる。

…ハイジに気を使わせてどうするんだよ。

ハイジの頭を撫でてやりながら、俺は自分の情けなさに奥歯を噛み締める。

俺は自分に言い聞かせるように目を閉じ静かに息を吐き出す。


何て事はない。

寧ろ見せてしまった方が俺への妙な関心もなくなり、変な絡まれ方をしなくてもすむんじゃないのか。

…一時の間だけだ。時間が立てば忘れてくれる。

感情を殺すのはいつもの事だ。


俺が覚悟を決め口を開こうとした時、それを遮るように芯の通った声が響いた。

「…絶対に外すなよラクハ。こいつらにお前の素顔を見せたら最後、お前に待っているのは地獄だけだ」

青い顔で遠くを眺め、震える拳をテーブルに押し付けながらそう言うゼロに俺は視線をゼロに向けた。

突然のゼロの発言に内心驚いていると嫌な音を立ててテーブルが乱暴に動いた。

「…よぉゼロ、その言い方だと俺達がまるでクズみてぇじゃねぇか。いつからテメェはそんなデカい口を叩けるようになったんだぁ?ぁあ?」

テーブルを蹴り、目の前に座るゼロを怯えさせるような発言をする小百合と言う男にゼロの体が一瞬ビクッと反応するのがわかった。

ゼロはテーブルの上に置いた拳が白くなる程に強く握りしめながら目の前の男を憎しみと怒りの混ざった瞳で睨みつける。

「…クズじゃなかったら何だってんだよ。自分より弱い奴を大勢で嬲って笑ってやがるテメェらがクズじゃなくて誰がクズだってんだよっ!!」

叫ぶように男にそう言い放つゼロの様子にゼロがノアと同じテーブルにつく事を嫌がった理由がわかった気がした。




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