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…ここからが勝負だ。

いかにノアのこの圧迫するような威圧感にのまれる事なく話を進められるか。

そして敵の陣地のど真ん中にいる事で考えられるアクシデント等も頭に入れておかなければならない。

俺は浅い呼吸を数回繰り返し気持ちを落ち着けてから話を切り出した。


「アンタ達が純粋にハイジを可愛いがってくれるって言うのなら俺はハイジを直ぐにでもノアの箱船に連れて行ってもいいと思ってる」

「えらく物わかりがいいじゃねぇか」

「ハイジが望んでいる事だしな。…ただし条件がある」

俺のその言葉にもノアは表情を変える事なく余裕すら窺える表情で言ってみろ、と先を促す。

「俺にアンタを信頼させてくれないか」

「…遠回しな言い方はやめろ。具体的に俺に何をさせたいのか言ってみろよ」

ノアは初めから俺の要求など聞くつもりはないのか興味なさ気に俺から視線を外す。

歓迎パーティーの時のノアの態度から俺の話が通るとは思えない。

だが今回はそうも言ってられねぇ。

俺達にとってこれは死活問題だ。

俺は覚悟を決めゆっくりと口を開く。

「エドアンの居ない2日間、エデン或いはアリスの森の囚人達に喧嘩を売って欲しい」

俺のその言葉を聞いて俺の試したい事がわかったのかベリーズは口を大きく開き、大きくさせた丸い目を俺に向けた。

「何言ってんだぁ?オメェ。ナメた事言ってんじゃねぇよ糞眼鏡。ヤっていいっすかコイツ」

侮辱されたとでも思ったのか小百合と言う男は下から俺を睨みつけるとテーブルに乗り上げてきた。

咄嗟の判断でまだ半分以上残っているハイジのトレーを素早く腕で押しやる。

殆ど手をつけていない状態の俺の夕食が派手な音をたてて床に落ちて行くのを感じながら、乱暴に俺の胸ぐらを掴み今にも殴りかかって来そうな白髪の男の顔を俺は黙って見つめ返した。

「うーわー…すっげぇ、兄ちゃんの胸ぐらを掴むなんて勇気あるね白髪のお兄さん、俺尊敬しちゃうよ」

野次馬目線で感動したように俺と目の前の白髪の男を間近で観察してくるハイジに、静かに取り巻いていた俺の緊張感は見事に破壊された。


…ハイジに悪気が無い分怒るに怒れねぇ。

つーか…それは一体どう言う意味だハイジ。




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あきゅろす。
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