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「…何でアイツ何かがチェシャ猫に気に入られてんだよ」
「弟ならわかるが何故あのメガネなんだ?やっぱり噂は本当なんじゃねぇのか」
「あぁ、しかもあのフック船長がマジになる位だからな」
チェシャ猫が姿を消した途端に騒ぎ始め、俺に不快な視線を送りつけてくる囚人達に俺は小さく舌打ちをする。
何事もなく終わった事はありがたかったが、目立たず平穏に過ごす事を望む俺の願いは直ぐには叶いそうになかった。
再び席につき食事を再開していると前から視線を感じた。
「言いたい事があるならハッキリ言えよ」
少し強めの口調で俺がそう言うとベリーズは息を飲み込んだ。
「ラ…ラクハさんとハイジさんって、何て言うか凄いですよね…。
チェシャ猫相手にあんなにフレンドリーに会話が出来ちゃうんですから」
ハイジはともかく俺は奴とフレンドリーに会話した覚えは無い。
顔をひきつらせながらそう言うベリーズに続くようにゼロも口を開く。
「お前ら怖いもん無しだな。来たばっかりだっつーのに、ノアとチェシャ猫に気に入られるなんてラッキーなのかアンラッキーなのか…。
お前らちょっと異様だぜ」
複雑そうな顔をしてそう言うゼロの発言に気になる所があった。
チェシャ猫に気に入られたかどうかは知らねぇが今の所殺意は抱かれてねぇみてぇだからまぁヨシとして、
ノアに気に入られたって言うのは何だ?目を付けられたの間違いじゃないのか?
俺がそうゼロに聞き返すと口を閉じてしまったゼロの代わりにハイジが口を開いた。
「あのね兄ちゃん。ノアのおじさんって兄ちゃんが思ってるより悪い人じゃないみたいだよ?」
ハイジは少し嬉しそうな顔をして俺を見上げてくる。
「何を根拠に」
俺が感情のない声でそう問うとハイジは視線をテーブルに向けた。
「だって兄ちゃん。おじさん俺の体を見ても気持ち悪がらなかったし、憐れみの目で俺を見たりしなかったんだ」
だからおじさん嫌いじゃない、と目をふせ口にフォークをくわえたまま俺にそう訴えるハイジに俺の体に緊張が走った。
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