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「ゼロが元気が無いのは俺のせい。ゼロにちょっとショッキングな事したんだ。俺間違えちゃったみたい」
眉を下げて申し訳無さそうな顔をしてそう説明するハイジにゼロが顔を上げた。
「違うっ、ハイジは何も悪くねぇんだ。寧ろハイジは俺の為に…」
ゼロは嫌な事させてごめん、と小さく溢し項垂れた。
俺とエドアンは何があったのか想像出来ず顔を見合せる。
ハイジはゼロに近寄るとゼロの顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよゼロ。俺もいい経験になったし、寧ろ途中から楽しくなって意地悪しちゃった位だし。
だから早く普段の面白いゼロに戻って。
俺そっちの方が嬉しい」
にっこりと笑いながらゼロの頭をグシャグシャと撫でるハイジにゼロの目に少し光が戻った。
「…面白いって何だよ。つーか兄貴ヅラすんな、俺まだお前が俺より年上だって事認めてねぇし」
「むー、いつか絶対認めさせてやるもんっ!!」
ハイジの手を引き剥がしながら悪態をつくゼロに皆の表情が緩まった。
…もう何が何だかサッパリわからねぇ。
けどこの様子だと大きな問題はなかったみたいだな。
「リズにも聞いた方が良さそうだな」
肩をすくめて俺に向けてそう言うエドアンに俺は小さく頷いた。
お互いの無事を確認した所で一先ず俺達は場所を食堂へと移す。
エドアンの例の儀式が終わるのと同時に皆目の前の食べ物に食らい付いた。
俺は目の前の肉の固まりを口にする際に一瞬チェシャ猫があの牛達を解体する姿を想像してしまったが気にせず肉を口に入れた。
食べられる時に食べておかねぇと体がもたねぇからな。
「それはそうとクララお前大丈夫だったか?」
大丈夫の意味がよくわからねぇ。
野菜や肉を飲み物のように喉に流し込んでいるエドアンにそう返すとエドアンは顔をしかめた。
「色々あるだろ、チェシャ猫に襲われたとか、他の奴らに絡まれたとか。噂の的だぜお前」
噂の的…まぁ俺達新入りだしな。
チェシャ猫とのあれは襲われたっつーか俺をからかっていただけだろ。
「倉庫に連れ込まれたが俺はまだ生きてるし大丈夫だったんじゃないのか」
フッとチェシャ猫の唇の感触を思い出し俺は不快感をどうにかするために唇を拭った。
「どこの囚人に連れ込まれたんだ?まぁお前なら問題ねぇだろうけどな」
エドアンはどうにも俺を買い被り過ぎている節がある。
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