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〈本館一階広間〉
ーside RAKUHAー
強制労働終了の合図のベルが鳴り、他の囚人同様に地下通路を通り朝ハイジと別れた一階広間で俺はベリーズと共にハイジ達を待っていた。
朝ハイジ達が降りて行った階段付近の壁に寄りかかり一息ついていると横からの視線が気になった。
「俺に合わせなくてもネバーランドに戻っててもいいんだぜ」
俺に気を使わせるのも悪いと思い、屈んで頬杖をついているベリーズに声をかける。
「いぇ、いいんです。どうせいつもこのまま食堂に直行ですから」
もうそんな時間なのか。
労働中は時間を気にする余裕がなかったからな。
「それにしても凄いですよね。チェシャ猫に連れて行かれた時はラクハさんともう二度と会えない事を覚悟したんですから」
どうやらベリーズはチェシャ猫に倉庫に連れて行かれた俺が無傷で生還した事を驚いているようだった。
そう言えばベリーズに俺達がDark hole壊滅させたって事を知られたんだよな。
俺の予想を反してベリーズの俺に対する態度に変化は見られねぇが。
「今日はチェシャ猫の機嫌がいい日だったってだけだろ」
「ラクハさんってネガティブ思考ですよね」
不思議そうな顔をしてそう言うベリーズに、昨日確かエドアンにも似たような事を言われたのを思い出した。
そんな事を言われても意識して喋ってねぇからな別に。
そんな事を考えているとベリーズがスクッと勢いよく立ち上がった。
「船長っ、お疲れ様です」
ベリーズのその声に視線をずらすと少し疲れたような顔をしたエドアンの姿があった。
「どうやらお前らは今日無事だったみてぇだな」
エドアンはダルそうに肩を回しながら俺とベリーズの顔を見て安心したように笑う。
「そっちはどうだったんだ?随分疲れてるように見えるが」
少し気になってそう尋ねるとエドアンは嬉しそうな顔をして俺の肩に腕をのせると小さく息を吐いた。
「今日はマシな日だったぜ、まぁお仕置き部屋行きは免れなかったがな」
お仕置き部屋…
問題を起こした囚人が入れられる独房のようなものだろうか。
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