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恐る恐る背後に立っているゼロの反応を盗み見るとゼロは目を見開きショックを受けたような顔で俺の体を見ていた。

気持ち悪がられたかな。

まぁ同情されるよりはマシだけどさ。

「…父親にやられたのか?」

ノアのおじさんは俺の上半身を埋めつくすように刻まれた大量の切り傷、火傷、煙草の押し付けられた痕に指を滑らせながら俺にそう尋ねてくる。


あぁ…さっきアイツを殺したことを話しちゃったから完全に勘違いしてる。

「違うよおじさん。これは母さんがやったの」

俺がそう言うとおじさんは眉間にシワを寄せて不思議そうな顔をした。

「母親にやられたのに何で父親を殺すんだ?」


「答えは簡単。母さんよりも酷い事を俺にしたからだよ」

そうは言っても別にSEXを強要されたとかじゃないから、と念をおす俺におじさんは益々意味がわからない、と言ったように眉を寄せた。


「けどまぁ…お前のその恐怖心の無さの理由はわかった。死ぬ程の恐怖と苦痛を経験して来たって訳か」

「そー言う事ー」

そう言って笑って見せる俺にノアのおじさんは薄ら笑いを浮かべ俺の頭を荒っぽく撫でた。

「…益々気にいったぜ」

えーっ?!何で?!!
他の囚人さん達みたいな反応が正しいと俺は思うんだけどな。


…どうしよう。俺ノアのおじさん嫌いじゃないや。

寧ろ俺を同情や憐れみの目で見ないでくれるから好きだなー。

おじさんは俺の腹部にある傷を指でなぞりながら胸元から少しずつ下へとキスを降らせて行く。




そんなおじさんに困っているとガレージ内に何かの怪物の鳴き声のような不快極まりない音が鳴り響いた。

その音にこの場に居る人間全員が後ろに視線を送る。

「あー、ピンクの鶏さんだぁ」

すっかり忘れてたよ。

両腕を大きく振る俺を見て、シャッターを上へと持ち上げていた鶏さんは慌てて俺の方に向かってくる。


囚人達を押し退け俺とノアのおじさんの目の前まで来た鶏さんは俺の上半身を見て一瞬顔をしかめたけど直ぐにハッとして俺の腕を掴んだ。


「い…一応確認するが、まだセーフだよな?!お前らノアにヤられてねぇな?!」

俺をノアのおじさんの腕から救出し、俺とゼロの顔を交互に凄い形相で見つめてそう尋ねてくる鶏さんに俺は戸惑ってしまう。


「うん、ギリギリセーフかな」

俺がそう言うと鶏さんは安心したのか分かりやすく大きく息を吐いた。



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