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“アンタは私を不幸にする事しか出来ないの?”

“人を見下したようなその瞳と、吐き気がする程気持ちの悪い髪の色がとっても不快だわラクハ”

“私はどこで間違えたのかしら。アンタなんか死んでも生む気はなかったのに”

そして最後には必ずあの女は俺にこう言う。

こんなにも私を苦しめてまだ足りないの?

お前は本当に悪魔だわ。

口癖のように俺を罵り何度もそう言い聞かせられる度に俺がどんな気持ちだったのか。

絶対に誰にもわかる筈がない。


俺は嫌な事を思い出してしまい気分は最低だった。


「どうしたの怖い顔しちゃって。って言うか天使は否定するのに悪魔は否定しないんだ?」

黙ったままでいる俺にチェシャ猫は不思議そうな顔をした。

俺はチェシャ猫の言葉に返事を返さずに強い力で俺の体に絡み付くチェシャ猫の体を引き剥がした。


そんな俺の行動に驚いたように目を丸めているチェシャ猫の顔を見つめる。


「俺、お前とも仲良くなれそうに無い」


「どうして?俺は多分ラクハとハイジの事を誰よりも理解してあげられると思うけどなぁ」

「…なんとなく」

そう曖昧な答えを返すとチェシャ猫に小さく笑われた。

眼鏡とバンダナを再び元の所へ装着して倉庫を出て行こうとするとチェシャ猫に呼び止められる。

「俺は自分が好かれるタイプじゃない事自覚してるから別に驚かねぇけど、

お前ともって…他に誰か仲良くなれそうに無い奴いるんだ?」

伸びをしながら愉快そうな顔でそう尋ねてくるチェシャ猫に、リズ・オーエンの名前を出すとチェシャ猫は思いっきり顔をしかめた。

「…あんな鳥人間と一緒にしないでくれる?

今度俺の前であの節操無して生理的に受け付けない感じの鳥人間の名前出したらアリスの森に連れ帰って監禁するぜ?」


「…わかった。もう二度と口にしねぇよ」

チェシャ猫の人間性、感覚云々、その他の問題点を除けば意外と話が合うのかもしれねぇな。

倉庫に連れ込まれた時はどうなる事かと思ったが予想外の収穫があったな。


チェシャ猫の前で鶏の名前を出すと監禁される。

それを知れただけで十分だ。

ハイジによく言って聞かせねぇと。


チェシャ猫がリズ・オーエンを嫌う理由がなんとなく理解出来る為俺はそれ以上深く考えるのを止めた。

まぁ猫と鳥が仲がいいって話は聞かないしな。

俺は不機嫌そうな顔をしたチェシャ猫をその場に残し仕事に戻った。


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あきゅろす。
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