短編小説
再会 another 2
「え、…シセル…?」
「おじいちゃん…?」
「…ら、でぃあ?」
晴れた煙の中、増えていた、無かったはずの人影と、その人物に、はやてが、フェイトが、なのはが、目を見張り呆然と呟いた。
◇
「全く、これはどういう事かな?」
一歩前で、シールドを張っていたのだろうラディアが腕を下ろしながら口を開く。
「あの子達に会いに行ったはずが突然呼び出されるんだもの」
少女?を腕に抱えたシセルが呆れたように言う。
「したが、今のフューグでは、来て良かったようじゃのう。少し遅かった気がせんでもないが」
袍(パオ)を纏ったロマンスグレーの男性がやけに年寄りくさい調子で言う。
「ありがとう。もういいから、行こう、皆」
「良いのか?」
「うん。あの子達の気持ちは分かったから。
桃子さん達にもう一度挨拶して、家も引き払って。悪いけど、お願い。わたしは行けそうに無いから」
「分かった」
シセルの腕の中の少女の言葉に、全員がなのは達に背を向ける。
「会いたくなかったのならそう言えば良かったのに。言付けておけば良かったのに。なら会いに来たりはしなかった。
邪魔なら言ってくれれば。桃子さんなり士郎さんなり、ローズにでもいいから言い置いてくれれば、姿も、存在も匂わさなかった。
死んで欲しいのならそう告げれば、今回の生くらいあげたのに。
さようなら、愛し児達」
シセルが振り返り、腕の中の少女が顔を向け、無表情にそれだけを告げると彼等は光に包まれ(恐らく転移魔法だろう)、消えた。
「え?なに?どういうことや?」
「愛し児って、え?ひゅー?」
「さよならって……」
そして、事態が掴めず、だが、見聞きした事が示すモノと告げられた言葉に混乱の渦に放り込まれる者達。
主要人物の混乱によって、説明も受けられず訳の分からないままの六課員達。
そしてさり気なく、実は完膚なきまでに破壊されている六課入口。
呆然としていた彼女達は、部下も仕事も、全てを放り投げて生まれ故郷、第97管理外世界への帰還を強行したのは、それから一時間後のことだった。
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