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短編小説
あり得るかも知れない未来
「結果は出た?」


「ああ」



部屋に入った途端の問い掛けに、問い掛けられた人物――恭也――は短く答えた。


「その様子じゃ、あの子達は管理局に所属するんだね」

「ああ」

部屋へと完全に移動した恭也は背を向けたままの翔の言葉を肯定する。

「もう少し成長してからと粘ったんだが、本人が頑として譲らなかった」

「・・・そっか」

「すまない」

ただ受け入れるだけの翔の呟きに、恭也は謝罪以外の言葉が浮かばなかった。

「恭也さんが謝る事はないですよ」

「だが、俺たちは君に恩がある。父さんを治してくれたし、なのはの事だって、最も側にいて助けていたのは君だ。
なのに、本当にすまない」

恭也は翔に深々と頭を下げる。

「しょうがないですよ。あの子達には管理局の“正義”は解りやすく、惹かれるものなんでしょうから」

「だが!」

「もう、決まった事です。そうでしょう?恭也さん」

振り返った翔の微笑みに

「なぜ、笑っていられるんだ?」

恭也は疑問を口にしていた。

「長く生きていると、こんな事はよくあるんですよ。そして僕は、これ位の事は慣れてしまってるんです。何も手に着かなくなるほどショックを受ける事は出来ないし、これからの行動を、もう自然に選択出来てしまうんです」

答えた翔の顔は変わらず微笑みを浮かべていたが、恭也には自らへの嘲りと悲しみが綯い交ぜになった、泣きそうな顔に見えた。


「本当に、すまない」


だから謝る事しかできなかった。


「気にしないで下さい。何故か、準備は出来てるんです」


翔の指差した先にはリュックが置かれている。

「もう行くのか?」

「今晩はご一緒しますよ。他の方々にも挨拶はしないと駄目でしょう」





「管理局に入る事になったよ!」

「おめでとう」

居間に入るなり飛びついてきたなのはを抱き留めた翔は優しく微笑むとなのはの頭を撫でる。

「ありがとう!」

喜び全開の笑顔でこたえたなのはは、撫でられる感触に気持ちよさそうに目を細め翔の胸にグリグリと頭を押しつけている。

「フェイトとはやてもなんだろう?」

「うん!みんな一緒なの!」

顔を輝かせなのはは言う。本当に嬉しいのが見ているだけで伝わり、その様子をみている者も笑顔になっていた。









―――たった1人、恭也を除いて―――





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