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短編
2※
 自分に宛てがわれた小さな部屋の中には小さなベッドが中央に置かれている。その周りを埋めるように、嶺さまが今までにくれたぬいぐるみが転がっている。それを足で掻き分けてベッドに向かい、その上に座ると抱き枕にしている草臥れたそれを引き寄せる。
 
 嶺さまが一番最初にくれたぬいぐるみだ。
 
 
「嶺さま……。どうして僕を抱いてくれないの……」
 
 
 それに抱きついて呟く。
 
 
 答えはとうに分かっている。それでも、心は身体は彼に抱いてほしいと叫んでいる。
 
 
『あっ、ぁん……!』
 
 
 隣の部屋から壁越しに聞こえる艶やかな声が胸を刺す。
 
 
 僕も女の子だったら、良かったのに。そうだったら、嶺さまに抱いてもらえるのに。そんなことを考えながら自分が穿いている短パンに手を伸ばす。
 
 
 生意気なことにそこは緩く勃っていて、伸縮しない布地に阻まれ、窮屈そうにしている。ズボンの前を寛げて、下着もつけていない下半身をあらわにすると、竿を緩く扱く。
 
 
「っく、ぅ……」
 
 
 嶺さまのものになるのだから、性欲処理も出来なければいけないと嶺様が学校に行っている間勉強したことが奇しくもこんな所で活かされてしまっている。
 
 どこに触ったら気持ちいいのか、それはまだ未成熟なそこでも通用するらしく、背骨を抜けるざわざわとした感覚に息が詰まる。
 
 
「ひっ、ん……」
 
 
 唇を噛んで耐える。
 
 それでもどこか期待している。いつか、嶺さまに抱かれる日を。

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