[通常モード] [URL送信]

御題
真っすぐに、上を向いて







「北辰一刀流千葉門下、藤堂平助です」


「沖田総司です!お願いします!!」







まさか、あんなに差があるとは思わなかったんだ






「………いすけ、平助?」

「うわ!山南さん!!すみません!!」



気がついたら眼前に山南の顔があった

心配そうにこちらを見ている



「どうしたんだ?ぼーっとして、珍しいね」


「いえ、何でもないんです…」





「…沖田君に負けたのが悔しいかい?」

「っ!!何で分かったんですか!?」


「あはは、やっぱり!分かりやすいな」


あまりにたやすく当てられてしまう


やはり感情が顔にでやすいところは改めなくては、と反省する






「…だって、歳は一つ二つしか変わらないんですよ

でも、彼はもう師範代で、私はまだ目録をとったばかり

落ちこまないほうが難しいですよ」



はあ、と大きなため息をつくと、山南にくすくすと笑われる





「何笑ってるんですか!私は真剣なんですよ!!」

「いや、若いな、と思ってね」

「…どういう意味ですか?」


平助は訝しげに尋ねる





「若い頃って言うのはよくそうやって悩むものだ

でも、いつか気づくんだよ」

「何にですか?」





もう目をキラキラと輝かせて山南の話に聞き入っている

本当に素直な子だ、と山南は微笑ましく見つめる






「人と自分を比べても仕方がない

それより自分の道を進むべきだ、ってね」





「自分の、道……」





「そう、例えば、君は沖田君に剣術では敵わなかった

でも、平助が身に付けている知識はあそこにいた人の中でも一番だろう」



「そんな、こと……」






「自分に自信を持って、真っ直ぐに生きていきなさい

そうすれば、自ずと道は開けてくるから」







「自分に自信を持って真っ直ぐに…



うん、そうですね!

ありがとうございます、山南さん!!」








先ほどまで俯いていた平助はもういない








上を向くと、平助の心の中のように晴れ渡った







青空が、広がっている





2007/01/30 彩綺



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!