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刀剣乱舞
一鶴 (鶴丸目線)

目を覚ます。外はまだ薄暗く、日が昇っていない事がわかる。
隣の布団を見ると一期が気持ち良さそうに眠っている。普段粟田口のチビたちの兄として気を張り生活しているからか、寝顔が余計に幼く見えた。

(…愛おしい一期、早くその透き通った目で俺を見てくれ)

つい一刻半前まで溢れ出る雄の色気で俺をぐちゃぐちゃにしていたとは思えない程の幼く、愛らしい寝顔。
指通りの良い一期の髪に触れ、額に唇を落とす。
まだ体の節々が軋むものの、起きてしまっては仕方が無い。襖を開けると早朝の清々しい空気が情事感の残っていた部屋の空気を一掃する。
立ち上がり縁側まで出て空を見上げるとそこには無数の煌めく星々。東を見ると暁に染まる空。それらのなんと美しい事か。

「…ん、つるまる…どの、?」
「あぁ…起こしてしまったか?」

聞こえてきた声に振り向くと寝ぼけ眼の一期がこちらを見ていた。色気がダダ漏れだ。何とかしてくれ。

「…なんと美しい…」
「あぁ、星がとても綺麗でな。つい見とれてしまっていた。寒かったか?」
「…いえ」

一期が起き上がる。それを見てまた空に視線を戻す。とても美しい。

「鶴丸殿、明け方は冷えます」

ふわり、と肩にかかった薄い毛布。振り向くと掛けてくれた本人は毛布よりも薄い浴衣1枚のみ。優しく微笑んでいる。

「…一期、来い」

毛布は大きい。
左隣に座った一期の肩にも毛布を掛ける。毛布は2人で肩から掛けても少し余るほどの大きさだ。

「見ろ一期、お前の瞳と同じだぞ?」

空にある金に輝く星を指差し一期を見る。

「美しいな」
「…鶴丸殿」
「何だ?」
「鶴丸殿とも同じ色の星々です」

右肩に一期の手が回りぐ、と引き寄せられる。

「貴方の瞳も、あの星々と同じく美しい」
「…、」

目を伏せ口元は少し上がっている。寒さのためか頬は赤みを帯びている。

「俺よりもお前が美しい。上空の星々よりも、東の空の暁よりも。何よりもお前が美しく、愛おしい」

右手を一期の頬に添え、心の底からの気持ちを伝えると一期は真っ赤になった。

「ははは、暁と同じ色をしているぞ。愛いやつめ」
「鶴丸殿の、男らしさに改めて心奪われましたな」
「何度だって奪ってやるさ」
「…私のこと」
「離さないぞ、何があっても。例えお前が俺を嫌いになったとしても。絶対に」

本心である。
一期が逃げても、一期が俺を嫌っても。
もう一期を手放すことは出来ない。

「これからも、私と共にこうして朝を迎えてくれますか?」
「??当たり前だろう」
「ふふ」

俺の醜い心を見せたというのに一期は心底嬉しそうに笑っている。

「私も、鶴丸殿を解放など出来ませぬ」



もっともっと溺れ

もっともっと堕ちて

共に歩んでいくならば

2人を阻む敵などいない



「愛しているぞ、一期」
「愛しています、鶴丸殿」

暁に照らされながら俺たちは引き寄せられるように唇を重ねた。


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