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君の声
嫉妬目


『……;』

「季夜、疲れた?」

私が会場入りして1時間
沢田さんは私が疲れたんではないかと気にかけてくれた
しかし、それに対して私は否定の意味を込めて首を横に振る

心配そうにしながらも、他のお客様?の相手をしなくてはいけないらしい沢田さんはまた別の人に話しかけられて相手をしている
今沢田さんの傍には獄寺さんしか居ない。他の皆さんは各自自由にしているようだった

主に女性に囲まれているが……

皆さん美形さん達だから、こういう人が沢山のパーティーは女性にモテモテになるのがよく分かる

………まぁ、だから内心少し疲れて居るのかもしれない
まさか…私にまで影響があるとは思っていなかった……

リボーンさんに抱えられて入場したまではまだ何も感じなかったのだが、その後挨拶した後に沢田さん達が寄ってきた瞬間からだ

身体中に突き刺さる視線の数々

それは嫉妬と言うものなのだろう。………というか、こんな子供(今は)にまで嫉妬するのか普通…
……ぁ、いや普通が分からないけど……

兎に角、私が内心疲れている理由は嫉妬の視線による気疲れなのだ
こんなこと沢田さんに伝えられる訳がない
伝え辛い事だし……

沢田さんが笑顔を向けてくれる度、頭を撫でてくれる度、嬉しいけど、鋭くなっていく嫉妬の視線に泣きそうですよ…

これでは山本さんが言っていた美味しい料理を食べても、美味しさなんて感じない

「どうした、季夜
あんま食べてねーじゃねェか 」

『……(今食べても味なんて気にしていられないんですよ、獄寺さん…
てゆうか気付いて!獄寺さんが話しかけてきたら沢田さんの時とは別の方からの視線が鋭いんですよ!!痛いんですよ!!
はぁ…
……ぅう、美味しい料理なのに…味が分からないよぉ)』

「…やっぱりガキのお前じゃ疲れかたが違うか…ずっと屋敷の中で俺らやアホオンナ達以外とはあんま接する機会がなかったしな…

おい、山本」

私の顔を見て考えるように顎に手を当てた獄寺さんは丁度此方に戻ってきた山本さんに話し掛けた

「ん?どうした、獄寺」

「悪ィんだが、気分転換の為にも季夜を外に連れてってくんねーか?
俺は10代目の傍を離れられねぇから頼む」

獄寺さんの言葉に山本さんは一瞬驚いた顔をしたと思ったら私を見て、笑っていた

『?』

「ぁあっ!良いぜ
行くか、季夜!」

持っていた料理のお皿を獄寺さんが受け取ってくれ私は山本さんに抱えられた

軽く獄寺さんに手を振り、動き出した山本さんにしがみつく(落ちないために)

「珍しいのな…
あの獄寺が俺に頼むなんて言うのは…それも、##name_2が来たお陰だな」

頭を撫でられて、言われた言葉

その言葉にさっきの一瞬だけ山本さんが驚いていた理由はそういうことだったのかと納得した

てゆうか、そういうこと言われるなんてなんか…照れる〃

今日の私は頬が緩いので顔に照れてるのがバレてしまいそうで、思わず山本さんの首にしがみついたまま、顔を肩に埋めた

それと同時に感じる数々の視線
あ!…ヤバイ…やってしまった

「ハハッ!今日の季夜は積極的なのなっ!」

嬉しそうな声でそう言ってくれる山本さんに私は余計顔を上げられなくなってしまった

し、視線が痛い…
早く外に出てほしいです;


尚も突き刺さる嫉妬の視線に耐えながら漸く外に出た

顔を上げて見えたのは噴水に夜空に輝く満天の星に綺麗な三日月
部屋の窓から見ていた時とは違い夜空を近くに感じる


『(この世界(ここ)に来てからは、私が幼い子供ってことで沢田さんが早くに寝ることを言いつけていたから夜外に出ることっあまりなかったかも……まぁ、早くに寝かしつけてくれるから慣れない身体を維持出来るのだろうから沢田さんには感謝してるけどね)』

「夜の庭綺麗だろ?
季夜は此処に来たこと無かったしな……」

ニカッと笑った山本さんは噴水の近くにあったベンチに私を座らせてくれた

『《ありがとうございます!山本さん》』

持っていたメモ帳に文字を書き、山本さんに見せると「おう!」と笑顔でまた頭を撫でられた
山本さんの撫で方は沢田さんの優しく撫で方とは違って少し雑だ
でもこれも私は嫌いではない
髪の毛は少しボサボサになっちゃったけどなんか山本さんらしい撫で方だなって思うから
(あ、でもこういう人目につく日は手加減してほしい…
折角のセットが台無し…;)

メモ帳を片手に山本さんと話しているとお屋敷の開けた大扉から声がした

「山本様っ、私達(わたくしたち)のお相手をしてくださいなぁ〜」

「そうですわぁ〜」

此方に向かってくる二つの影
近づくと顔が見えた

『………』

視線の先にはショートとロングの金髪の女性達
二人とも一目で少し濃い目と分かりやすい化粧、胸元を大きく開くような宝石が散りばめられて輝くドレス
そして……極めつけは

『(…ぅ")』

この何とも言えない香水の匂い

匂いまで濃い目である
今は子供だから鼻が敏感で、これが普通なのかもしれないけど…

「え、いや、わりぃが今は季夜の相手をしててな…」

苦笑いしながら言う山本さんに眉を下げた二人の女性は山本さんを両サイドから引っ付き甘えたような声をだす

「えー…そんな子相手にしてないで私達に構ってくださいなぁ」

「ボンゴレは女性に優しいとお噂でしたけど本当は子供だけで女性のお相手はしてくださらないのぉ?」

「そういう訳じゃねぇけど…」

「なら、私達のお相手をしてくださいませ」

どうしようかと困っている山本さん
優しい山本さんの事だから私を一人に出来ないと思っているのだろう
でも、この女性達のお誘いも無下には出来ないとも

そんな山本さんを見て私はメモ帳に言葉を書いて山本さんのスーツの端を引っ張った

「っと!どうした季夜」

ギロッ「(ガキのくせにまた山本様に触れてっ)」

ショートの女性の方に睨まれたが、気にしないで山本さんに書いたメモ帳を見せた

『《私は此処で少し休憩して中に戻りますから大丈夫です
だから、山本さんは心配しないで行ってください》』

「…でもな…」

『《大丈夫です!》』

「ほら、山本様!そこの子供も言いと仰っているのですから行きましょ!」

「な、ちょっ…」

「私、山本様の幼少の頃のお話が聞きたいですわっ!」

両サイドをがっつり固めていた女性方は私が行っていいと言うと待ってましたと言わんばかりに戸惑っている山本さんを気にも止めず連れて屋敷の中に消えていった

山本さんには山本さんのお仕事がある。それをこの世界ではイレギュラーの存在である私が邪魔をしてはいけない


『(はぁ……)』


しかし、此処の女性はこういうパーティーに何故あそこまで濃いメイク、香水をつけて来るのだろうか
キツすぎて思わず鼻を摘まもうとしたけど、流石にそれは失礼だと思うから精一杯顔に出さないように気を付けた

此方の世界に来る直前に任務で行っていたパーティーではそんなに香水臭くはなかった気がする
任務対象で会ったアリーユさんはそ
うでもなかったな…
化粧も濃くなかったし、香水も程ほどにだったし、ドレスもそこまで露出は高くなかった

んー…世界観の違いかな?



屋敷の中からは色んな人の声
周りには誰もいない庭に一人でいると世界と切り離されたよう

私はベンチの背凭れに背中を預けて三日月を見上げた

一筋の風がまるで私を包むように吹いた



……コツッ


目の前の暗闇から足音がした









(隼人、季夜は?)

(季夜でしたら疲れていたようなので、山本に頼んで外へと気分転換の為に連れていってもらいました)

(そうか……珍しいな、隼人が山本になにかを頼むのは)

(10代目も心配していたようですし、それに季夜もどこか女共の視線に辛そうでしたので…)

(…そうだね。ああいう視線をまだ幼い季夜に普通は向けるべきでは無いんだけどね)

ゾクッ……

((((…;))))


(客を怖がらせてなにしてんだ、ダメツナめ)




今日は女性の怖さを知りました

2015/5/9

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