君の声
無言
「……季夜!!」
『…………』
――――――ゴンッ!!
『Σ〜〜〜(っΣ(ノд<)……わっ!)』
ズテンッッ!
「わりぃ!!季夜、大丈夫か?」
山本さんが離れたところから私の元へと走ってきてくれた
心配そうにしゃがみこんでくれる山本さん
一方の私はお昼ご飯の後、歩けるようになったんだからと山本さんに庭で遊ぼうと連れられ、キャッチボールをしていた
しかしお昼時に聞こえたAKUMAの事が気になりふとした瞬間その事について考え込んでしまい何度か山本さんに呼ばれて慌ててボールを受けとめていたのだがつい先程の考え事は深くなりすぎて呼ばれているのにも気付かなかった
そのおかげで山本さんのボールを頭に受け止め、挙げ句に威力が強かった球により体を押され後ろに尻餅をついてしまった
一応言っておきます
山本さんの投げる球普通の今の私くらいの子が受け止めるものではありません
毎日鍛練、任務で人より少し運動神経良くてもギリギリで受けとめていたんですよ
……師匠や神田なら楽々避けられたんでしょうけど…
兎に角そんな球が頭に当たったんです。そりゃあ、考え事なんて遠くに飛んでいってしまう位の衝撃でした。正直気絶しても可笑しくないです。一瞬意識が飛びました
踞って頭を押さえる私に流石にヤバイと思ったのだろう山本さんは私を抱えた
「本当にごめんな
つい、ボールを持つと手加減を忘れちまって……痛いよな
医務室にって…あ、確か今日は留守だったはず…俺は下手だしなぁ…
ツナの所に連れていくか
…確か飯の後、執務室に戻るって行ってたよな……
もう少し我慢しててな、季夜」
小さくコクりと頷いて山本さんの腕のなかで必死に痛みと戦う
結局は私がキャッチボール中ボケーっと考え事をしていたので、自業自得なわけで(山本さんの豪速球は考え事してなければギリギリでも受け止められるので)謝らなくても良いと山本さんに言いたい所なのだが生意気そんなことを言える余裕が皆無だ
カツカツと私に振動を余りかけないように気を付けながら走ってくれる山本さん
そんななか、ふと山本さんは足を止めた
何だろうと痛む頭を押さえながら顔を上げて―――――私は固まった
「リボーン、何か用か?
わりぃんだが俺今急いでんだが…」
「緊急だ。お前ん所の新人の部下が間違えてA ランクの任務に一人で行きやがったらしいぞ」
リボーンさんの言葉に山本さんの表情が瞬時に変わった事に私はリボーンさんが近くに要ることに固まってて気付いてなかった
「マジか、リボーン」
「ああ、つい先程俺の部下から何故か手元にCランクの書類しか残っていないと報告を受けた
それを辿るとお前の新人の部下に当てはまった
今ならまだ飛行機には乗ってねー筈だ。直ぐ追え」
「あぁ!…じゃあ、わりぃがリボーン、季夜の手当て頼む
ツナんとこ連れていこうと思ったがリボーンも手当て出来たよな
俺がボールを季夜の頭に当てちまってよ、凄く痛いみたいで
んじゃ、任せた」
私が反応を示す前に、山本さんは私をリボーンさんに預けると先程とはうって変わって素早く、慌ただしく去っていった
本当にあっという間の出来事だった
『……………』
「……………」
只今何故か私のなかで恐怖の対象と化してるリボーンさんの腕の中におります
そしてめっちゃ見られています
頭は割れるように痛い
挙げ句に恐怖の対象のリボーンさんとの距離の近さ
あれですか、山本さん
私に恨みでもあるのでしょうか?
カツっと革靴をならしリボーンさんは無言のまま私を抱えたまま歩き出した。
何でこんな状況下では考え事に没頭することは出来ないのでしょうか
考え事を阻むのはやはり、この頭の痛みで、やっぱり山本さんを恨みたい。さっきまで山本さんは悪くないと言った事は撤回します;
革靴の音はムダに広くて長い廊下に響き渡り、無言の重圧は私の精神に重くのし掛かった
(山本さんのばかぁ〜〜なんで、私を一人にするんですかぁ〜〜〜
…………Σいたっ!!うぅ、頭が痛いです;)
(……………)
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