君の声 語 …………………ぱちっ ……此処は……何処…? 目が覚めて、一番に視界に移る綺麗な天井 疑問が頭を占める 私…えっと、確かパーティーに男装して出てて、…それで…アリーユさんからイノセンス受け取って、AKUMA達が攻めてきて…… ……アレン達にアリーユさん達を任せて 私は、AKUMA達と戦って…それで、……… 暗闇に吸い込まれた… っ、私は死ぬはずだった? じゃあ、此処は何処っ!? ガバッと起き上がり、寝かせられていたベッドから飛び降り近くの扉まで駆ける、が −−−−ズサアァ、ベタンッ ??! 今の状況が季夜には理解出来なかった。何故、自分は何もないのに床に倒れ込んでいるのだろう?何故、自分は地に足を着けて立つことが出来ないのだろうと…… その時、今季夜が出ようとしていた扉が開いた。それには、季夜も直ぐに反応し警戒しながら、視線を向けた 一方、扉を開け、寝ていた季夜の様子を見に部屋に入ろうとしていた沢田綱吉は驚いた。扉を開けて直ぐにそこには今まで寝ていた季夜が床に寝そべっていたからだ。 「………え、えぇーーーー!? な、何で床に移動しているの!??」 突然の叫び声に、ビクッと体を震わせる季夜。直ぐに体を起こし、この人から少しでも離れようと手を床につけて体を起こそうとした、が ズキッと痛む頭。それに、季夜は自分が負傷している事に気がついた しかも、丁寧に手当てがされていることにも ……この人、……いい人? 首を傾げ、沢田綱吉を見上げる季夜 人を疑っていないと生きていけない世界で生きていきた季夜にとって、人を直ぐに信じるのは危ない事だった だから、疑問に思っても直ぐには信じれていない そんな季夜に対し、沢田綱吉ははっと平常心を取り戻し、苦笑いをしてその場にしゃがみこんだ 「驚かせてごめんね。…君は、多分だけど起きて知らない場所で驚いて、ベッドから飛び降りたんだよね? 今は無理をしてはいけないよ。君、結構重傷だったから…暫くは安静にしておかないと」 優しい声でそう、問いかける沢田綱吉 普通はそこで返事をして、お礼を言うところだったが季夜は顔を歪まし、困惑していた 理由は簡単 沢田綱吉、彼の発する“言葉”を季夜は理解出来なかった 季夜は沢田綱吉が今話していた言葉がイタリア語だとは分かっていた 前に任務でイタリアへ行ったことがあったからだ。だが、その時の通訳は全て探索部隊<ファインダー>がやってくれており、本部でも日常会話は主に英語を使うので、任務の時でしか行かない他の国の言葉を覚えることは無論することはなかった だから、季夜は母国語である、日本語と英語しか喋れないし分からないのだ そんな理由でイタリア語が全く分からない季夜に、その事を知らない沢田綱吉は季夜の男装<金髪、瞳は蒼>によりイタリア人と判断していた だから、沢田綱吉自身も母国語ではなくイタリア語を使って話していた 季夜は英語なら通じるだろうと思いイタリア語わかりませんと言った ……が、 『 』 …声が…………出ない………!?? 自分の口からは、何の声も出なかった 何度声を出そうとしてもあるのは静寂だけ ど、うして!? 私の声が出ない!!何で?! 何度やっても結果は同じ そんな様子を静かに見ていた沢田綱吉はやっと状況が理解できた 「…君…もしかして、声、出ないの?」 反応は返せなかった。言葉を理解出来ないって言うのもあるが一番の理由は声がなくなった事へのショックだった 季夜にとって、声というものは大切な武器でもあり、仲間達を助けるための治療薬のようなものなのだ それを使えないとは、何も出来ないことのようなもの… そんな様子の季夜を見て、沢田綱吉はそれを当たっていたんだと思った 沢田綱吉はとにかくと放心状態の季夜を抱えベッドへと戻し、ポケットから携帯を取り出すと近くの部屋で待機をしている筈のシャマルへ連絡を入れた 声が出ない それは、私にとって 戦うすべを無くすこと…… [*前へ][次へ#] [戻る] |