『オレ×オレ』
20…。
…蓮?
ゆっくりと髪を撫でられる感覚に目を覚ました。
多分、
俺を撫でているのは、蓮。
髪、頬…。
そして、唇。
どういう事だ?
目を開けようか迷ったが、開けなかった。
逃げられたくない。
蓮は、唇に指を当てたまま、動かない。
…蓮?
少しだけ、嬉しい妄想にかられた。
もしかして?
止まっていた、蓮の指先が少しずつ離れていく。
嫌だ!
そう感じて、無意識に呟いていた。
「…蓮…。離さないで…?」
「…ん?何?」
「…好きだ…」
そう言うと、離れようとしていた手首を掴み、力いっぱい抱き締めた。
「苦しっ…」
構わない!
さらに腕に力を込めた。
ごめんな?
多分、これが最後だから。
蓮の感触を忘れない様に。
蓮の温もりを忘れない様に。
…どれくらい、そうしていただろう。
丁度、オレの耳元辺りが濡れている。
…涙?
泣いている事に気付いて、手を緩めた。
泣くなよ。
これで、蓮が泣いたのは二度目。
一度目は、結花ちゃんが好きだったから?
じゃあ、今度は?
緩めてからも、離れない蓮。
つい、自分の都合のいい方に考えてしまう。
………やっばいなぁ。
勃ってきた。
離れなくちゃ、止まらなくなる。
名残惜しかったが、これ以上泣かせるわけにはいかない。
今まで瞑っていた目を開けると、オレの首筋に顔を埋めている蓮に言った。
「…蓮。泣いてんの?」
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