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『オレ×オレ』
…10。



見たくなかった。
なのに、目が離せない。

時間が、長い。


きつく唇を噛むと、
近くにあった空き缶を無意識に踏み潰していた。


「!…蓮!?」

その音に気付いて遊佐がパッと離れる。
結花ちゃんも戸惑う様な、恥ずかしそうな顔で下を向いていた。

「な、どうしたんだよ。」

なんて、動揺しながら話しかけてくる遊佐に言いようのない苛立ちと憎悪を感じた。

下を向いていた結花ちゃんが、真っ赤な顔で走って行くのを見送ってから、

「…邪魔して悪かったな。」

無表情のままそう言うと、回れ右した。



色んな感情が溢れ出そうだ。

「待った。」

止せばいいのに、遊佐は俺の手を掴むと、悲しそうな、辛そうな顔で俺を見ている。

「何、怒ってんの?」

怒る?
俺が?

「…何で、俺が怒んなきゃいけないんだよ。」

やっと吐き出すと、
手を振り払った。


「そんな顔してる。」

どんな顔?

「…結花ちゃんの事、好きだったの?」


結花ちゃん…。

真っ赤な顔で走って行く結花ちゃんを思い出した。


だけど、違う。
俺が苦しいのは…

遊佐を見た。

…俺が苦しいのは、遊佐だから?


少し濡れた唇を欲しいと思った。


そっか…。
俺、遊佐が好きなんだ。

そう思ったら、涙が出た。




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あきゅろす。
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