『オレ×オレ』
…16。
甘い、
甘い夢。
夢の中で、俺は遊佐と…。
「ん…。」
目覚めると、気分は最悪だった。
吐き気こそ無かったが、頭がガンガンする。
飲み過ぎた…。
寝ぼけ眼で枕元を探ったが、いつもはあるはずのサイドテーブルが無い。
あれ?
おかしい。
変わりにあったのは、何か毛みたいなの。
犬や猫は飼っていないし、
動物というよりは髪の毛みたいな?
ボーとしながら触り続けていると、
昨日の記憶が途中からない事に気付いた。
あれ?
俺、どうやって帰ってきたんだろう。
遊佐が送ってくれた?
…俺の家、知ってたっけ?
パチッと目が覚ますと、
俺が触っていたのは遊佐の髪だった。
「うわっ!」
慌てすぎてベッドから転げ落ち、
「痛っ!」
打ちつけた腰をさすりながら辺りを見回した。
ここって、
…遊佐の部屋?
何だか遊佐らしい部屋だった。
無造作に転がるウィッグに
灰皿一杯の吸い殻。
だけど、
「うっ!臭っ!」
自分から臭う嘔吐物の臭いに眉をひそめた。
もしかして、ヤっちゃった…?
自己嫌悪に軽くヘコむ。
多分、
正体をなくす程酔った挙げ句、
家が分からず送るに送れない俺を仕方なく家に連れてきたのだろう。
しかも、ベッドは占拠。
トドメは嘔吐。
…最悪だ。
上半身は裸だし。
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