『オレ×オレ』
15…。
ハァ。
また、ため息を吐くと、
汚れてしまった服を脱ぎ捨て、水のシャワーを浴びた。
…落ち着かないと。
理性が持たない。
水で、この熱が下がるかは分からなかったが、何もしないよりはマシ。
表面上は何とか冷めた熱に、少しだけ安堵した。
「蓮。…起きろよ。」
風呂からあがると、
濡れた髪のまま枕元に座って蓮を眺めた。
好きなヤツが寝てるってだけで、
何でこんなに構いたくなるんだろう。
徐々に、上がっていく熱に、
自分ばかりが損をしている気がして、鼻を詰まんでやった。
「ふがっ。」
そう言って、手で払いのけると、何かムニャムニャ言っている。
ぷ。
可愛すぎ。
クスクス笑いの後、
ふと、左手首にした腕時計が目に付いた。
その時計は、オレがあげた物。
そう、Zippoのお礼にプレゼントした物だった。
「…使ってくれてんの?」
在学中は、一度も身に着けなかったのに?
ゆっくりと時計を外すと、
丁度文字盤の後ろに、蓮の刺青があった。
クッキリと付いた日焼けと、
毎日使ってます的な細かい傷。
「…蓮。
お前…、ずっとオレと一緒にいてくれたんだな。」
湧き上がる激情に、
オレは、蓮の唇を貪っていた。
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